慶應義塾大学 商学部・商学研究科

新保一成 研究室

開発と環境の経済分析...

2014 India Study Tour(9/7〜9/14)

9/7〜9/14に2014 India Study Tourを実施しました。 今年が4回目のIndia Study Tourです。

今年は,3年生12名,そして神戸夙川学院大学疋田浩一先生のゲスト参加を得て, 計14名のツアーになりました。 The Energy and Resources Institute(TERI)のDr. Ritu Mathur, Mr. Omkar Sharadrao Patange、Mr. Vivek Jhaには、 毎年のことですが農村のフィールド・ツアーをアレンジしていただきました。 感謝申し上げます。 また、私どもの訪問を快く引き受けていただいた、 Sulahb International のDr. Bindeshwar PathakとMs. Nigar Imam、 DISHA のMs. Shobhana RadhakrishunaとMr. Ravi Chopraにも感謝いたします。 最後に,ホテルや車の手配をはじめ,さまざまな面でわれわれをサポートしてくれたGoni Travelのセナさんには, いくら感謝申し上げても仕切れないほどです。 みなさまのおかげを持ちまして,2014 India Study Tourがなんとか終えたことを感謝申し上げます。 ありがとうございました。

また、今年度は新保がツアーの2/3ほどを引率できない事態が生じてしまいました。 その間、新保に代わり引率を引き受けていただいた疋田先生には、大変なご苦労をかけてしまいました。 あらためてお礼申し上げます。 引率が二人以上必要なことを痛感した次第です。

9月7日

今年は、ANA(5人)、JAL(1人)、中国東方(8人)の3グループで移動。 早朝到着のANA、中国東方組は、Karol Baghe駅からDelhi Metroを乗り継いでOld Delhiに出向き、 Red Fortを見学して、Jama Masjid経由でレストラン Karimsに向かい、 初のインド料理(ムガール料理ですが)を楽しむ。 Karimsには新保がどうしても行きたかったので、学生を無理矢理連れていった感じです。 Delhi MetroのBlue LineでNoida Sector 18駅近くにあるモールThe Great India Placeへ向かい、 2時間ほどショッピング(ここはUP州です)。 JAL便の到着を待って、19:30からHotel Bharat ContinentalのKadhai Tadkaでkick-off dinner.

農村フールド・ツアー 9/8〜9/10

今年はTERI がUP州の州都Lucknowを拠点として展開しているプロジェクト・サイトを訪問した。

09/08/06:15
09/08/12:30
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09/10/22:05

9月11日

学生が自ら探したDISHAを訪問。 新保はTERI大学で講義、 その後新保・疋田がTERIで研究プロジェクトのミーティングのため、 DISHAへは引率なしの学生だけの訪問になってしまった。 Study Tour終了後、新保・疋田はTERIで研究プロジェクトのミーティングをするのが慣例であたっが、 今年度は新保がStudy Tour終了直後に帰国しなければならなかったので、こういうことになってしまった。 セナさんのホテルからプロジェクト・サイト、プロジェクト・サイトからホテルまでの車の手配は完璧であったし、 DISHAも親切に対応していただけたようなので、 インドが始めての学生たちだけでも安全に有意義な時間を過ごすことができたようだ。 (新保は緊急の別件でTERI大学の講義をキャンセル、疋田先生が午前中にTERIで研究ミーティングに参加。) DISHA訪問の詳細は、学生のページをご覧ください。

disha

DISHAは、Mohandas Gandhiの精神に基づいて、インドにおける差別、女性問題、教育問題、健康問題、 融資支援など、様々な分野で活動している団体である。 DISHAが、学力向上と基本的生活習慣の指導を推進している小学校を訪問。 このプロジェクトは、 Tech Mahindra Foundation(TMF)という教育をメインに活動している団体と共同で実施しているそうだ。 グループに分かれ、折り紙、箸の使い方などを子供たちに伝授したそうだ。 ついでに「ニンニクマシマシ」という二郎ジャーゴンも伝授したそうだ。 このようにして変な日本語を自慢げに語りかけてくるインド人が増殖するのである。 「ニンニクマシマシ」では慶應関係者が教えたのは明白だ。 マクドナルドでランチをして、午後は、Bharat Heavy Electricals Limited (BHEL バーラト重電機)のCSR部門との共同プロジェクトとして運営している小学校を訪問。 子供たちとお絵描きを楽しんだそうだ。 また、各所で「世界に一つだけの花」を披露したそうで、ぜひ聞いてみたかった。

9月12日

Sulabh International

インドのカースト制において第5のヴァルナとされる不可触民(untachable)は、 カースト制度の歴史過程の中で形成された。 不可触民とされる人々が属する職業集団の中でも、最も忌避されるものの一つが、 マニュアル・スカンベンジャーという職業集団に属するものたちだ。 堀穴式トイレに貯められた糞尿をほぼ素手に近い状態で処理してトイレを清掃することが仕事で、 常に感染症のリスクに曝されながらの仕事である。 そして、実際にこの不浄の仕事に携わるのは女性たちである。

Sulahb International というNGOの創設者であるパタク博士(Dr. Bindeshwar Pathak)は、 マニュアル・スカンベンジャーをなくすためには、人の手で糞尿処理が必要なトイレがなくなればよいと考えた。 Pathak博士のモットーは、「技術で不可触民を解放する」である。 技術によってマニュアル・スカベンジャーが必要とされなくなれば、彼女たちは失業し、 その生活もままならなくなってしまう。 Sulabh Internationalは、公衆トイレの設置、家計へのトイレの普及という技術の側面のみならず、 マニュアル・スカンベンジャーが自立するための教育、職業訓練の提供などを実施している団体である。

新保は別所へ行かざるを得ず、引率は疋田先生にお願いした。 詳細なレポートは、学生のページをご覧いただきたい。 今年度は2011年同様、朝のお祈りから参加させていただいた。 さらに、Dr. Pathakの歌の披露もあったそうで、こちらもぜひ聞かせていただきたかった。 Dr. Pathakの英語と暑い中でのSulabh式トイレの説明に、学生達は悪戦苦闘したそうだ。

Slum Walk

Providing Education To Evryone (PETE)が案内するSlum Walkに参加しました。 Kathputli1 Kathputli2 ボランティアの学生たちの案内で歩いたのは、New Delhiの西部ShadipurにあるKathputli Colony Slum。 ここには2800ほどの世帯が暮らしているそうだ(Wikipediaより)。 Kathputliとは、puppetすなわち操り人形を意味する。 およそ50年前にRajasthan州の舞踏、器楽、手品、人形使い、蛇使い、 猿回しなどを生業(なりわい)とする家族がここに移り住んできたそうだ。
Slum Walkの参加費は、午前10:00から始まる通常の営業時間帯で650Rs./人である。 われわれは、午後2:00からお願いしたので1200Rs./人を請求されたが、セナさんが交渉の末、 700Rs./学生となった。 8400Rs.= 700Rs. X 12人で、疋田先生と新保を含めた14人で割って600Rs./人を支払った。 PETEは、ここでKindergarden(幼稚園)と女性のためのVocational School(職業訓練教室)を運営している。 Slum Walkの参加費は、これらの教師と給食のために使うというのがPETEの説明。 しかし、値段をふっかけたり、交渉すれば値下げするなど、そこらのマーケットでやられていることと同じで、 貧しさを商売にしているとしかいいようがない。 Vocational Schoolでは、NGOの職員の女性がスラムの女性たちが作った装飾品を売り始めたり、 女性たちが女子学生の手にメヘンディ(ヘナ)を描くなど、商売の臭いがプンプンである。 このスラムに暮らす子供たちも、われわれの旅行者には慣れたもので、笑顔を振りまきながら握手を求めてきたり、 写真をせがんでくる。 これは、外国人と見ればお金を乞う、道端の子供たちとは大きな違いである。 このスラムの子供たちは、どうすれば人が来るのか、どうすればお金を落としてくれるのかを知っているようだ。 この暮らしこそが、収入を得る手段だということになってしまうと、決してスラムも貧困もなくならない。
案内をしてくれた学生は、チェコの大学生とチベット出身でイギリスで勉強する高校生。 学生にとって、スラムでの生活がどういうものか、所得はどのように稼得するのか、何にお金を使うのか、 住環境はどうかなどなど、現実を観るのによい機会であることに間違いない。 もう一方で、真の意味で彼らを独立させるにはどうしたらよいかを考えて欲しい。 決して、Slum Walkでお金を落とさせることではないはずだ。それを考えるためには、学問が必要である。
私は、このスラムを歩き始めた瞬間、いつも観ていた光景と何が違うだろうと思った。 たしかに、ここの規模はデカい。 でも、流れないドブ兼トイレ、屋上に暮らす人々、狭い通路、 これはデリーでヤムナ川の東に位置するShakarpurで1年半暮らした私が毎日目にしてきた姿だ。 規模のいかんはともかく、インドの都市部にはこのような暮らしはいくらでもあるのだ。

Fairwell Dinner

一同が顔を合わせることができる最後の晩なので、Kick-off Dinnerと同じレストランで最後の晩餐を催した。 午前中に学生が訪問したDISHAで代表を勤めているMs. Shobhana RadhakrishunaとMr. Ravi Chopraから食事のお誘いを受けたが、どうにも日程がタイトなので、Fairwell Dinnerに来ていただくことにした。 DISHAにしてみると、何で日本のStudy Tourの一団が自分たちを訪ねることになったのかがなんとも不思議で、 ぜひその不思議な集団を率いる変な先生に会ってみたかったようである。 Ms. Radhakrishunaは、10月に東京大学、上智大学などで講演の予定があるそうで、 慶應でもぜひという思惑もあるようだ。 彼女は熱烈なガンジー信仰者で、日本にもガンジー経済学なるものを広めたいようである。 彼女の言うガンジー経済学とは、資源を節約して持続可能な発展を実現するために、 ガンジーがアシュラムで指導したような暮らしをするべきだ、と私は理解した。 我慢できるものは我慢する、つまり無駄をしないことの必要性は認めるが、 この60年から70年ほどで人類が開発してきた生活を豊かにする技術を全て捨て去って、 ガンジー的な生活をすることがよいとは決して思わない。 私としては、持続可能な発展を可能にする、今後の技術開発に大いに期待したいのである。 果たしてアシュラムの生活がどのようなものであったのかを知り、 現代の生活に活かせるものを見つけるために、 DISHAのプロジェクト・サイトを訪ねてみるのはおもしろそうだ。 Dinnerの間のほとんどの時間を彼らと話すことになってしまったが、 学生たちが訪問の感想などを積極的に話してほしかった。

9月13日 Agra One Day Tour

at_tajmahal 毎年恒例のAgraへの1日ツアー。Taji MahalとAgra Fortへ。 とても蒸し暑い日で、木陰を探して休み休み歩きました。 ランチで飲んだビールの美味かったこと。 ここで、翌日帰国する2人はDelhiに戻り、残り12人はAgraに泊り、 明日から15日までRajasthan州のJaipurへの観光に向かいます。





9月14日〜15日 Jaipur Tour

Whre did we visit?

Places visited in Delhi

Places visited in Lucknow

参加者の感想

最後に参加者から感想を送ってもらいましたので,掲載させていただきます。

  • 暑いのも、辛いのも、うるさいのも、不衛生なのも、うざいのも、全部インド。 次にそこに行くときはきっと違った場所になっていて、今のインドの景色、 今のインドの町、今のインドの食、今のインドの人々、今のインドの雰囲気は、今そこでしか経験できません。 十分に経験できましたか。ともかくみんな無事で何よりです。(神戸夙川学院大学 疋田浩一先生)
  • とても活気に溢れている国で、良くも悪くも圧倒されっぱなしで、五感全てに刺激的な10日間でした。 これからインドがどう発展していくのか、非常に興味深いです。(商学部3年 吉田あかね)
  • 初海外が今回のインドでしたが、毎日が刺激的で今後どこの国に行ってもなんとか頑張れそうなほど、 心身ともに強くなった気がします。 セナさんが20年後インドは良くなっているとおっしゃっていましたが、物乞い、ホームレス、 スラム街といった貧困はどうなるのか気になります。(商学部3年 椎谷紗帆)
  • 日本だと思いやりっていうのが大切だけど、インドではそういうのがほとんどなかった。 多分日本においては経済的にもそうだけど、全てにおいて余裕があるんだと思う。 それに対してインドは、生活するのにも大変だからこそ、思いやりっていうことが軽視されていて、 ある意味自分勝手になっちゃうんじゃないかなって思いました!(商学部3年 平井智己)
  • 途上国に行くことによって、様々な衝撃を受けた。 ただ、所々自分が想像していたものものよりも発展しているものも多々あった。 ただ、それが広まっているかや維持されているかと言われればあそういうわけでもないというのがまだインドの現状なのだなと感じた。 例えば、農村部の道路や学校。 また、インドに行くことによっていかに自分が恵まれた環境にいるのかということを実感させられた。 この環境に生まれたからには、まずこの環境をいかして生きていきたいと感じた。(商学部3年 鈴木幹也)
  • 全てが真新しく、刺激的なツアーでした。 同時に交通、治安など様々な面で、日本はすばらしい国だなと改めて実感できました。 現在モディ首相を中心に日本をモデルとした改革を行っているということで、 数十年後のインドがどう変化するか楽しみです。(商学部3年 坂上 晃)
  • 海外に行くたびにその国に『慣れる』ことが大事だと感じる。 インドは多くの宗教や発展具合がバラバラでカオスな印象を受け、そこが非常に興味深かった。 全体的にみんなが引きこもってるのはもったいないなあと感じた。(商学部3年 宮越哲郎)
  • 経済が飛躍的に成長しているというイメージがあるインドでしたが、 思っていた以上に「発展途中」なんだなと感じました。 下水設備や学校といったところはまだまだ改善していく余地があると思います。 それと同時にこの国は勢いがあるなとも感じました。 これからインドがどうなっていくのか非常に興味を持つツアーとなりました。(商学部3年 清水瞭)
  • インドは日本とはまったく違った世界で日々衝撃を受けていました。 日本にいては絶対に見れない生活環境を見ることができて、 自分の考えが大幅に変わりました。(商学部3年 伊勢塚純)
  • インドの衛生状態がとても気になりました。 自分の住む道に平気でゴミを捨てる心情は理解できません。 しかし、どこに行っても子供は可愛くて、この子たちの笑顔が守られる国になってほしいと思いました。 (商学部3年 船野理沙)
  • 混沌とした街中にも、たくさんの笑顔があったことが印象的でした。 中国のように無愛想でなく、日本のように仮面の笑顔でもない、 インドの人々はまだ(いい意味で)原始的に生きているんだなあと思い、嬉しかったです。 (商学部3年 林 静香)
  • 発展途上国というものを初めて見て、良くも悪くもエネルギーに満ちあふれていることに感動しました。 これからどのような軌跡を経て発展していくのか関心を持ち続けていきたいです。 同時に、日本が発展途上国だった頃、どんな雰囲気だったのか気になりました。(商学部3年 市川洋介)
  • 人口が多いということをどのように成長につなげていくかという疑問を持った。 小さい子供が物売りとして時間を使っているのは貴重な経験かもしれないが、 将来のことを考えると非常に勿体ないように感じた。(商学部3年 内藤 寛)