Taj 多事
Taj 多事
2008
今日予定していたアグラへの日帰り旅行は、元旦に延期することにした。みなさん、昨日の疲れで一気に時差ボケもすっ飛んだようで、ずいぶん遅くまで寝ています。それにしても、バラナシに比べるとデリーの寒さは厳しく、特に陽のささないリビングにいるときには、外にいるかのごとき厚着をしていないと深々と冷えてくる。こういうときには、外に出る方が暖かいのだが、 午前中は家でゆるりと過ごすことに決定。 妻に言わせるとサバイバル生活の始まりだそうだ。
10時半を過ぎた頃、セナさんがカチョーリ(Kachori)を差し入れてくれた。地方によって形や詰め物が違うそうだが、この辺のカチョーリは、ジャガイモと豆を潰して少しスパイシーな味付けにしたものを小麦粉の皮に包んで、空飛ぶ円盤のように平たくしたものを揚げたインディアン・スナックだ。食べ方もいろいろだが、イエロー・ダール(イエロー・ダール豆のカレー)と一緒に出されることが多い。器にカチョーリを取って、その上からイエロー・ダールをかけて、カチョーリをグチャグチャに崩してイエロー・ダールとよく絡めて食べるのがご当地流。イエロー・ダールは、赤唐辛子をそのまま入れて煮込んであるので、こうして食べるとかなりホット&スパイシーになる。具に味がついているので、もちろんそのままでも食べられる。
子供たちは、カチョーリをそのままコロッケのごとくかじってご機嫌だ。妻には、こちら流を試してもらったが、かなり辛く感じるらしい。ということで、大量に添えられたイエロー・ダールは、小生が残さずいただいた。
午後は、買い物の下見ということで、ジャンパト(Janpath)通りの中央家内工業物産店街(Central Cottage Industries Emporium)などへ行くことにした。ここは政府の直営店で、かなりのお金持ちの旅行者しか買わないような超高級なものは置いていないが、いろいろな種類の工芸品が幅広いグレードで取り揃えられていて、値段もフェアーだという噂だし、店員につきまとわれることなくゆっくり商品を見ることができるのがよい。ここで商品のクオリティと値段の関係をしっかり勉強してから、旅行者がよく行くような店に出向くとよいということである。
ジャンパトまでは、シャカルプールでリキシャを拾って、長男、妻、小生の順に座り、妻の上に三男、小生の上に二男、長男には荷物を持たせて出発。すでに昼に近い時刻なので、リキシャに乗っても寒くはなく、バスや車に接近されてドキドキしながら、はじめてのリキシャにみなさんご機嫌のようであった。料金は、Rs. 90だったかな?
長男と二男は、お友達のお土産といって腕輪を物色している。小生は、ちょっと出かけるときに本の2、3冊と小物が入る程度の肩掛けバックに目をつけて置く。妻はもっぱらストールの物色。ストールについては、小生が家の中で上半身に巻いているのを見て、子供たちもまねをしたいらしく、バラナシにいるときからずーっと「布、布」と騒いでいた。布専門の政府直営の物産店にも行くつもりなので、子供たちには、もっといろいろ見てからと言い聞かせ、とりあえず腕輪を買う。それを見ていた三男も腕輪がほしくなってしまったようで、お友達とおそろいのものを買う。残りは、妻のストールで、ここでも買いたいモードにスイッチがはいってしまったようで、あれでもないこれでもないと、商品棚と鏡と店員の間を行ったり来たり。残された男ども4人は、三男に主導権を握られながら、辺りをぶらぶら。そこそこお気に入りのものが見つかったようで、ストール売り場を後にして、一通りその他の工芸品も見て歩き、別の物産店へ移動するために会計を済ませて、商品を受け取る。
妻がストールを探し終わったところで、小生がMr. Singhに連れ込まれた店で購入したストールの値段を聞いてみる。目と手で商品のクオリティを確かめながら発した言葉は、「どうみてもRs. 2000以下ね。Rs. 1000に近いかもしれない」「オレは、これにRs. 4000支払ったんだけどね...」、バカだねという風に店員は顔をしかめて見せた。やっぱりね、という感想。これを買ったときMr. Singhに「有名なガイドブック(Lonely Plantのこと)では、リキシャとかタクシーの運転手が連れて行く店で買うと倍は払わされると書いてあるけどどう思う?」と聞いた。彼は「商品の質を判断しないでそういうことは言えないはずだ。オレは商品の質のよい店を紹介している」といってのけた。やはり、旅行者によって蓄積された情報は正しいわけで、インドへの旅行者が増えることによってますます正確な情報が蓄積されていくだろう。Mr. Singhは、店のものに質のよい商品を提供するから客をつれてこいと、小生が彼に騙されたように、店に騙されているのかもしれない、いいように解釈すればであるが。店のポケットに入ったRs.2000から3000の金のうち、彼が手にしたのは売り上げの2%のRs. 80だけだ。だったら、もっと旅行者に喜ばれる商売を工夫すれば、バックマージン2%より多くの収入を得ることができると思うのだが。
次の店は、コンノート・プレースにあるので、とりあえずコンノート・プレースまで歩き、昼食を取ることにする。カチョーリも食べたし、子供たちのことも考えて、ハンバーガーやピザもあるWinpyというファースト・フード店に入る。Chicken Burger Mealというチキンのハンバーガー、フレンチ・フライ、ペプシのコンボを注文する。値段はRs. 110で、決して安くない。インドに来てはじめて、ハンバーガーを食べたが、まずい!パンもバサバサでまずいし、チキンのハンバーグは、チキンナゲットを焦がして固くしたようなもので、味は魚肉ソーセージに近い。まだ魚肉ソーセージの方が、しっとり感があって美味い。これだったら、Rs. 50程度のカレーとRs. 3のロティ2枚のほうがよっぽどよい。きっと、チキンバーガーは二度と口にしないだろう。
やられたー第4弾
Winpyを出て、ハンドルーム・ハウス(Handloom House)という布の政府物産店とカディ・バワン(Khadi Bhavan)という布の全国チェーン店へ向かって歩き出す。カディ・バワンと同じ並びには、各州の物産店が並ぶBaba Kharak Singh Margという通りもある。WinpyがあるのはコンノートのFブロックで、向かうはGブロックである。ところが少しく歩くと目の前にEブロックと表示されている。狐につままれたような感じで、ガイドブックの地図に見入っていると、どこからかオニイさんがやってきて、どこへ行くのだと聞いてくる。Gブロックのハンドルーム・ハウスだというと、小さい子をつれてGまで歩くのは大変だからRs. 20でまちがいなくハンドルーム・ハウスに連れて行くようにリキシャと交渉してやるという。地図を見るかぎり、ここがEブロックだとすると目的地までは1Km程度ある。Rs. 20ならよいかと、紹介されたリキシャに乗り込む。
リキシャの運転手も陽気なオニイさんで、話をしながら乗っていたが、だんだん回りの景色が怪しくなってきた。あきらかにコンノートから離れて行く。ただBangra Food Kalevaというスイーツの店があったので、メトロポリタンホテル日航の傍だとわかった。以前、IDEのY君と日航で待ち合わせて、その店の前でコンノートの方角を聞いたのだった。
リキシャが止まったのは、スイーツ屋の裏側の路地にある6階建ての新築の店だ。運転手は、われわれが持っているCottage Emporiumの袋を指さして、ここのEmporiumの方が安いぞと得意げである。ここは、旅行者が連れ込まれるタイプの店で、入口と出口が一つしかなく、一度入ると全ての商品の部屋を通過するまで出られない仕組みになっている。最悪の場合、買うまで出られないタイプの店だ。運転手は客を連れて来たことだけで、バックマージンをもらえるし、客が買い物をすれば一定割合のマージンを稼げる。
Mr. Singhに鍛えられているおかげで、一見してそのような店だと分かったので、「ここはハンドルーム・ハウスか?」、「ちがう。でもここの方がよい商品を置いている」、「われわれが行きたいのハンドルーム・ハウスだ。ここは、この地図のどこだ」、「この辺だ」と場所を確認して、さっさと逃げ出すように退散。店員はたいそう不機嫌であるが、「そんなの関係ねー」。外では、運転手がほかの運転手達としめしめと談笑していたが、いっさい無視して三男を抱きかかえて大通りへ突っ走る。
コンノートへ戻るリキシャを拾って値段を交渉するがRs. 70でないとこの人数はのせられないという。Rs. 20で来た道をRs. 70というのも癪であるが、連れて来た運転手はバックマージンが目当てだから運賃は安いのだ。Rs. 70でコンノートのGブロックへ引き返す。
ところが、ハンドルーム・ハウスというのは、本当になくなってしまったらしい。ということで、また地図を見るはめになり、そしてまた怪しげなオジさんが近づいて来た。「ハンドルーム・ハウスはなくなったし、そこに見えるカディ・バワンではスイーツしか売っていないぞ。ハンドルーム・ハウスは新しい6階建てのビルに移ったから、車を紹介してやるからそこへ行け」とタクシーの運転手のもとへ行く、そばにいた若いのがICIC銀行の前にわれわれを連れて行き、ここにハンドルーム・ハウスがあったんだと説明する。みんなグルである。Handloomというのは手作りという意味で、手作りの布製品を売っているというだけで、そこへ連れ込もうという算段だ。さすがに二度目は騙されずに、しつこいオジさんと若者を振り切った。旅行者が集まるコンノート・プレースでは隙を見せるとあっという間にカモにされるようだ。あー、恐ろしい。けど、ちょっと楽しい。
目の前に各州の物産店が並ぶBaba Kharak Singh Margがあるのはわかっていたが、最初に行ったCottage Emporiumが安心して買い物できるということで、もう一度リキシャで向かう(Rs. 50)。長男と二男は自分たちのストールを選び、その他我が家の買い物を少々して、再びリキシャで家へ戻った。
子供たちに「お父は、よく騙されるなー」と突っ込まれて、返す言葉のない小生であります。
12/30の天気の天気予報 最高気温25℃、最低気温10℃、晴れ
12/30の天気 最高気温18℃、最低気温7℃、平均気温12℃
コンノートは怖いぞ
08/12/30
セナさんからいただいたカチョーリ(Kachori)。上にみえるイエロー・ダールとグチャグチャにからめて食べるのがご当地流ですが、子供たちはコロッケのようにそのままパクつきました。