Taj多事
Taj多事
2011
昨日,インド時間の午前10:14,New Delhiの高裁(Delhi Hight Court)前で爆弾テロが発生し,入場許可証をもらうために100人以上の列ができ,受付近くに放置されていたブリーフケースが爆発し,11人が死亡し,76人が負傷した。
大変不幸な事件であるが,われわれにとってはStudy Tourの期間中に起きなかったことが不幸中の幸いであった。2008.11.26のムンバイ同時多発テロで日本人1名を含む170人余りが犠牲になったことは記憶に新しく,もしこれがTour中なら,日本のご家族はどれほどか心配されたことであろう。Delhi HCは,インド門の南東側に隣接する現代美術館の裏手にある。現代美術館は外国人旅行者にも人気で,特に特集はおもしろく,小生も三回ほど訪れた。このような場所における無差別テロは,あってはならない。
1947年のパキタンとの分離独立以来,モスリムが人口の大部分をしめるパキタンとヒンズー教徒が80%をしめるインドとの紛争は絶えない。この8.31と9.1にも印パ国境で領有権を争っているカシミール地方の停戦ラインで銃撃戦が発生し,パキスタン兵3人が死亡したと報道された。インド国内におけるヒンズー原理主義者のモスリムに対する態度は,極めて敵対的でときに暴力的で,モスリムのモスクを襲撃して破壊するという事件も過去にあった。インド国内におけるテロ行為は,インド国外のイスラム過激組織の犯行であることが多い。
今回も国際テロ組織Al-Qaeda(アルカイダ)に近いとされるHarkat-ul-Jihadi-al-Islami(HuJI)が,Eメールで,2001年12月のインド国会襲撃事件に関与して死刑判決を受けたイスラム過激派の男の判決取り消しを求め,受け入れられない場合には裁判所を攻撃すると警告していた。日本での報道はここまでではないだろうか。Times of Indaiは,事件直後に受け取ったEメールでは,HiJIはこの事件には関与しておらず,実行したのはインドで活動するイスラム系テロ組織Mujahideenであると主張すると同時に,木曜日(8日)にDelhiまたは他の地域のショッピング・モールを攻撃すると予告した。当局は,MujahideenがMuzahiddinと書かれているなど,Mujahideenの犯行とみなすには慎重なようだ。そこへ三通目のEメールが,Ali Saed El-Hoorieと名乗るものから送られ,Indian Mujahideenの犯行であることを再度主張し,近いうちに別の攻撃があることを予告している。
米国同時多発テロ9.11から10年を迎えるというタイミングも嫌な感じをさせる。Anna’s Movementでは,ガンジーが訴えたように,あらゆる宗教を信じる人々が平和に暮らせる「一つのインド」と非暴力が大きなスローガンであった。このような雰囲気の中で起きてしまったことも残念だ。テロの原因が貧困という経済的要因に起因しているとすれば,米国の主導の「目には目を」式のやり方は,何の解決にもならないだろう。
Delhi高裁前で爆弾テロ
11/09/09