今日は２時からミーティングを１時間，４時15分からは，TERIの創設者であるDarbari Seth氏の功績を讃えて毎年開催される記念講演があった．パチャウリ所長の挨拶に始まり，デリー首都圏の知事である Shri Tejendra Khanna氏のオープニング・アドレスが続き，メインは心臓外科医の名医である Naresh Trehan 博士から「インドの保健医療」と題するレクチャーが行われた．やはりインドにとっては，いかに国民全員が医療にアクセスできるようにするかが最大の問題である．講演後にフローアーからTERIの研究員の一人が，「農村部では薬局の店員が薬が不足している偽り，高値で売りつけることが最大の問題だ．これについてどういう対策をするのか」と質問した．それに対しTrehan 博士は「そういうことがまかり通っているのは，十分承知している．ただ，そういうこと一つ一つに対処する仕組み作りなど考えられない．それが悪いことであるということを気づかせる教育こそ必要であり，それが悪いことであるというAttitudeを持った個人になることこそが重要であり，法だけの問題ではない」と答えた．もっともだ．逆に，あたかも「オレは農村部の専門家だぜ，こんなことも知らんのか」というような質問をした質問者のレベルを疑ってしまう．また医師の資格に関する質問に対して，彼は米国でも医師の資格を持ち，10年に一度資格を更新するために試験を受けているそうで，医師が足りないからといって安易に門戸を開くのではなく，そういう制度こそが必要であろうと答えた．そのような制度に関しては，さすが米国であると言わざるを得ない．大学の人間も同じであるが，一度なってしまえば，というような制度はどこかで問題が生じるものだ．

記念講演のためにオフィスのあるDarbari Sethブロック（創設者の名前，今日初めて知りました・・・）からホールのあるビルへ移動するときにポツポツと雨が降り出していた．デリー一帯は，この講演の間にひどいことになっていたそうだ．最大瞬間風速70mを越す突風と滝のような雨が１時間ほど続いたとのことである．講演が終了したときには，暴風も暴雨もすっかり終焉していたので，ちーとも気がつかなかったが，帰りの道道でその凄まじさに気がつかされた．

インド門までは交通量の多いを道を避けて行くので気づかなかったが，いつも横断に難儀するインド門に入る横断歩道は道路が車ですし詰めで，車の間をすり抜けてスイスイと渡れてしまった．つまり，車は全く動けない状態だったのだ．そのときには，まだことの重大さには気づいていなかったけど，インド門に入るとそこは海．そこで初めて，それだけの雨が降ったことを知った．インド門を抜けた通りは，いろんな方向を向いた車がすし詰めで二進も三進もいかない．

この状態の原因の半分はドライバー自らの自作自演である．つまり，渋滞の道路を我先に行こうとする車が反対車線を突っ走り，反対から来る車と出くわして全く身動きが取れなくなる．いたるところで，毎日のように繰り返される光景が，このようなどうにもならない事態をもたらしているのだ．学習効果がないというか，やっぱりAttitudeの問題だ．

歩道も悲惨なもので，巨大な木が根こそぎ持って行かれて，歩道に横たわっている．こんな木が倒れるなんてどんな風だ．現場にいた歩行者は大変なんてものじゃなかっただろうな．

こんなとき普段歩いているのは，大変な強みだ．動かない車の中や外に出て苛々している人達を横目に，時には写真なぞ撮りながら悠々といつもように帰るだけだ．メトロの駅では，普段より利用者が多いと見えて，ボディチェックに10分ほどを要したが，気になる混雑ではない．でもここですら，並ぶことをせずに一端先頭まで行ってボディチェックの警官に追い返されて戻って来る輩が３分の１はいる．まったく情けない．

家に着くとセナさんが出てきた．「大丈夫だった？」「まったく問題なっかったですよ」「歩きとメトロだから大丈夫だろうと家族で話していたとこだったんだけど．でも降っているときはどうしたの？」ということで雨の凄さを知った次第です．セナ家では，鍵をかけ忘れた２Fの窓が破壊してしまったそうだ．そんな雨と風，見てみたかったとも思うのですが・・・

８/21のデリー天気予報　最高気温36℃、最低気温27℃、雨

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