Taj 多事
Taj 多事
2009
今朝もリキシャがいない.これは何かある.リキシャの溜まりの反対側でしばらく待っていると,いつもの運転手達の一人がやって来た.乗せてくれと頼むと,いつもは何も言わなくても乗れ乗れと手招きするのに,だめだという.回りにいる連中もリキシャの運転手仲間のようで,みな口をそろえて「アタール,アタール」という.そしてすまなそうに手を合わせる.これは,ますます何かある.ストか?まさか,ストをして収入機会を失うことの方がこの人達にはダメージのはずだ.何か宗教的な理由か?
今日も結局メトロと徒歩でIHCへ向かう.インド門でリキシャが1台小生が追いつくのを待っている.「何処へ行く」「IHC on Lodhi Rd.」「Rs. 100」.冗談じゃない,どんなに高くたって,つまりMr. Singh料金でRs. 50だ.「No」と言って先を急ぐと追いかけてきて「じゃRs. 50」ということで,ちょっと高いけど,汗ビッショリで仕事をするよりはましなので「OK」と言って乗り込む.降りる時も運転手は不平たらたらである.だったら他の客を捜せばよかったじゃないの.街中オートがいなくて困ってんだから.早々にWebで情報収集.「Time’s of India」のCIty欄のDelhiへリンクを進める.ありました,ありました.なんとオート・リキシャ組合が月曜から2日間のストに入ったそうだ.やはり「アタール」とはストのことでした.(インドの人達は,オート・リキシャをオートと呼び,サイクル・リキシャをリキシャと呼んでいます.サイクル・リキシャのリキシャは日本の力車が語源だと言う説もあるそうです.)
政府が許可証を持たない営業の取り締まりを厳しくすること,新しい環境基準に合わせて許可証を取り直すこと,つまり車検をやり直すこと,メーターを使うことなどを要求していることにに反対して,組合の75%およそ5万5千台のオートがストに入ったそうだ.いずれの政府側の要求も運転手の懐具合に影響するから,そうは簡単に承諾するわけにはいかん,というのがオート組合の言い分だ.だけど,誰が考えても,組合のわがままとしか思えないから,市民はカンカンだ.多すぎるオートは,渋滞と公害の元凶だ.メトロやバスの公共交通遺憾の整備は,オートの需要を減退させるに違いない.オート業界は,自らリストラクチャリングに取り組まないと,対応が後手後手になって結局は自らの生活を苦しくすることになるのではないだろうか.
メトロやバスといった公共交通機関の供給が明らかに不足している今,5万5千台のオートが利用できないというのはパニックをもたらす.これぞとばかりにタクシーは普段の運賃の10倍程度を要求しているようだし,いつも満杯のバスはどうにもならない.
そういえば,昨日オートを待っているときに通りかかったバスから一人のサリーを着たご婦人がころげ落ちそうになった.満杯のバスの運転手は,さらに客を乗せる必要がないから,たとえ停留所でも止まろうとしない.だから降りたい人は,混雑したバスの中を降り口まで進み,飛び降りるしかない.降り口まで進んだご婦人は足をすべらせ転倒してしまった.幸い,外へ飛び出した足が地面に届かなかったので,止まらないバスに巻き込まれずにすんだ.もちろんバスにドアはないので,足が外へ突き出てしまうのである.乗客の大声でやっとバスは停止し,泣き出さんばかりの顔をしたご婦人が起き上がって降りてきた.
そういえば,そのちょっと前に,見かけぬオートの運転手が「何処へ行く?」「IHC on Lodhi Rd.」「じゃRs. 200だな」「冗談じゃない」「Rs. 150にまけるよ」.話す気もしないので無視したけど,それでも乗りたい客がいたというわけだ.ストにもかかわらず営業している運転手は,同業者から嫌がらせを受けているという記事もあった.そんなリスクを犯してまで乗っけたのに,いつもの料金と変わらぬ金額しか稼げなかった小生をインド門で乗せた運転手は,不平たらたらだったわけだ.知らないというのは強いものだ.
新聞記事では,ストが2日目に突入とあるだけで,いつまで続くのかに関する言及はなかった.明日はどうなるのでしょうか?
8/18のデリー天気予報 最高気温32℃、最低気温25℃、雨
8/18のデリーの天気 最高気温34℃、最低気温26℃、平均気温30℃
8/18の東京の天気 最高気温29℃、最低気温24℃、平均気温26℃
ちょっとわがままじゃない,そのスト?
09/08/18