Taj 多事
Taj 多事
2009
5時15分起床.昨晩は睡魔に勝てず,帰って来てビールを飲んですぐ寝てしまったので,今朝は早起き.昨日の「Taj 多事」を書いて,「インドの貧困削減プログラムの現状と課題」(辻田祐子)を途中まで読む.8時に家を出ようとすると,セナさん宅から奥様のミナクシさんが出て来て,そのあとから日本人の女性の方が現れたので挨拶を交わす.ミナクシさんがセナさんが話したいとい言っているので中にどうぞというので,お邪魔することにした.女性の方は,セナさんの話にときどき登場する「奈良のお母さん」.昨日まで,セナさんは,日本の撮影隊のガイドで10日間ラジャースターン州のジャイサメールに行っていた.ちょうど「奈良のお母さん」のインド旅行が重なってしまったので,急遽「奈良のお母さん」をジャイサメールに呼び寄せて4日間ほど一緒に旅行をしてきたそうだ.
「奈良のお母さん」,ミナクシさん,セナさんの4人でお茶とパパイヤをいただきながら,旅行の話や,Slumdogの話や,いろいろな話が飛び出した.「奈良のお母さん」の二人のお子さんは,小生よりも年上で,とっくに独立しており,旦那さんも75歳まで働いて今はリタイヤして,夫婦だけの生活になったそうだ.旦那さんはインドがお嫌いとのことで,インドへはいつも「奈良のお母さん」一人で来るそうだ.突如,子供が独立して,夫婦だけの生活になったときの話にワープ.ミナクシさんは,すでにそのことを考えているそうで,とにかく次から次へと話が出てくるのでびっくり.セナさんは,インド人の寿命は日本人より短いから,今から準備して丁度いいんだなどと冗談をかっ飛ばしていたが,そんなことも全くout of 眼中で, アマラティア・センの本のタイトル「議論好きなインド人」を地でいっている.聞き手に回る典型的な日本人になる以外どうしようもないという感じでした.
ご近所では,セナ家の外人さんは,家族を日本に残して1年以上も一人でいる気らしく,いつも同じ時間に出かけて,だいたい同じ時間に帰ってきて,おまけに家にいるときまで仕事をして,さらにIHCまで歩いちゃうという,インド人の感覚からすると,とても信じられない人種だと噂されているようだ.うーん,そう言われると困ってしまうのだが,ミナクシさんが世界の人すべてがインド人と同じわけじゃないのよ,と説明してくれているそうで,近所の人達もちょっとだけ国際化されたそうである.
時間はあっという間に過ぎてしまった.今日は,東大のMさんに,期間限定で一般公開されている大統領官邸にあるムガール庭園にランチタイムを利用して,ご一緒させてもらうことになっている.11時を回ったところで,小生だけおいとまして,リキシャを捕まえてIHCへ急ぐ.やはりこの時間だと混んでいて30分以上かかってしまった.
荷物だけデスクに置いて,待ち合わせのグランドフロアへ降りる.Mさんのハイヤーしている運転手付き窓付き4輪の車に乗せていただいて大統領官邸に向かう(ちなみに小生が帰りにハイヤーしている車は,色は緑と黄色で華やかなのだが,オープンカーでタイヤが三つしかない.おまけに運転手は騒々しく,予定より早く到着するとご主人様が仕事中でも早く来いと電話してくる).残念ながらカメラの持ち込みは禁止で,入口で厳重なボディチェックを受ける.中に入るともう一度ボディチェック.インドから国際線に乗るときも何度も同じチェックを受ける.いつも思うのだが,こっちがチェックされているのではなくて,チェックしている人の仕事振りをチェックしているとしか思えない.
庭園の中は,勝手にあちこち散策できるというわけではなく,要所要所に銃を構えた警備員も配置されているので順路に従って見て歩くしかない.ハーブ庭園,ガチョウしかいない生物多様性公園,噴水のある音楽庭園,そしてムガール庭園,あと二つほどあっただろうか.さすがに大統領官邸というだけあって,外のカオスとは違って,綺麗に整備されている.ただ庭園として何がすごかったかと聞かれると少々言葉に詰まってしまうというのが正直な感想だ.官邸の建物は,一度外からも観た事があるが,西洋とインドとイスラムが折衷された観ても美しい建築物だ.インドには,大統領と首相がいるが,もっぱら政治の舞台に登場するのは首相である.正直言って大統領の名前も記憶にないが,女性だということで,今思うと共和国記念日にパレードの会場で勲章を授与している女性がいたが,きっと彼女が大統領だな.Mさんとも話したのだが,海外の要人や国内の勲章ものの人達を招いて晩餐会や音楽会や園遊会をやるのは大統領役目で,そのためには非常にすばらしい場所だと思う.ムガール庭園に面した建物でランチでもさせてくれれば最高なのだが,そうはいかないようだ.
当初は30分あれば十分かと思っていたが,順路通りに歩くと1時間弱かかってしまった.カーンマーケットで昼食を食べることにして,Ginger Moonという中華料理に入る.めったに食べられない魚と野菜を一品ずつに,エビ炒飯,そしてスープをそれぞれ一杯.小生は,いつもごとくHot and sour soup(酢辣湯)を注文.この店の酢辣湯は絶品.これぞ酢辣湯という味を久しぶりに堪能いたしました.炒飯もなかなか.さすがに二人でRs. 1700も払えば美味しいものが食べられます.ほぼ5ヶ月ぶりに箸というものを使ったけど,いったい何なんだこの違和感は?!
都市貧困について思っていた疑問を農村開発が専門のMさんに聞いて見た.つまり,都市でスラムに暮らす人達は農村から都市に流入してきた人達なのか,そして,この流れは一方向で,なぜ農村にUターンしないのか?農村から都市に流入してくる多くの人達は,土地を持たない家計の人達だそうだ.なるほど.つまり,農村にも都市にも居場所がない人達で,それが故に流れは一方向になる.農村で雇用者として働くことができて,かつそれで十分に生計が立てられる農業の発展,都市に十分な雇用機会があり,農村からの流入者を受け入れることができるインフラの整備,この両方がかみあっていかないと,都市におけるスラムの拡大は防げないのではないだろうか.
TERIの戻ったのは,ほぼ3時.待ったましたとばかりに,カルティックがやってきて,ちょっと打ち合わせ.もしかして午前中から探していたのかしら・・・すんません・・・午前中の予定は,小生にも予測できなかったもので.
5時20分ごろに,わざとらしいOne切りの電話が2回.最近,Mr. Singhが使う姑息な手だ.先日6時に約束したにもかかわらず5時半頃,打ち合わせ中に電話をかけてきたので,ミーティング中だからかけ直すと言って電話を切ったことがある.その日,やつは妙に不機嫌で,使ったこともない「Sir」なんて言葉を嫌みっぽく使っていた.そして翌日から自分の存在を示すためにOne切りを使うようになった.One切りは無視して5時40分ごろTERIを出る.途中,Craft Museumで,ちょっと待っていてくれと言い残して,中へ入っていった.しばらくして,何やら木の枝を担いで戻ってきた.「それ何?」「木だ」「そんなことはわかるさ」「特別な木だ」「何に?」「痒み止めだ」.前からシャワーでお湯を使うと体が痒くなって,痒いのをお湯のせいにしていたが,どうやらお湯のせいではないことになったらしい.この木の葉っぱを煮出して,体を洗うとよいらしい.この話には少し信憑性がある.あとで結果を聞くのを楽しみにしよう.
2/17の天気予報 最高気温25℃、最低気温10℃、やや曇
2/17の天気 最高気温22℃、最低気温10℃、平均気温16℃
ムガール庭園
09/02/17