Taj 多事
Taj 多事
2009
ついに2009年も今日で終わり。今年の大晦日は一人きりだし,ここインドでは特に新年を迎えるから何かがあるわけではないので,今日の大晦日も明日の元日も,まったく普通の平日である。インド人の8割りを占めるヒンドゥー教の人たちにとっては,今年は10月の半ばにあったディワーリーが正月で,そのときに十分大騒ぎをして正月気分を味わっているので,太陽暦の新年にはとんと関心がないようである。3月のホーリーまではおとなしいものだ。
小生にとってはこの時期を全くの仕事モードで過ごすのは初めてである。おせちも雑煮もおとそも何にもない。1990年になる正月も一人でケンブリッジにいたけれど,クリスマスをそれなりに楽しんだし,大晦日には州庁舎までカウントダウンに出かけたし,2日から仕事だったけど,元旦は休みだった。
来年の6月にシドニーで開催される国際産業連関学会の要約の締切が今日だったので,仕事モードに拍車がかかった。TERIの若手が張り切っていて,なんと3本も要約を提出してしまった。でも,これでここへ来た目的の一つは,なんとか達成できたことになる。あとは,このモチベーションが続くように,常に種まきをしていかないといけない。
デリーも寒くなり,きのうこの冬始めて最高気温が20℃をきった。朝の窓なしオートで風を切っての出勤はさすがに寒く,信号で止まるとほっとする。最低気温が5℃ぐらいだから,コペンハーゲンを経験した身にとっては,オートが走っている間は寒いけど,風がなければたいしたことはない。家には暖房がないから,厚着をしてのりきっている。寝るときは登山用の寝袋に包まっている。この状態を考えると,日本の暮らしというのはとっても贅沢なのだとつくづく思う。ほんのちょっと我慢すれば,そうとう省エネルギーできるんじゃないだろうか。日本の住宅は夜の寒気が室内に侵入してくるなんてことはないから,東京近郊なら,寝袋があれば就寝中の暖房は要らないと思う。
今日の帰りは少し悲しいものを見てしまった。ヤムナ・バンクでメトロを降りて,敷地の出口に向かって歩いていると,前方から3頭の牛がこちらに向かって走ってきた。いつも見る牛は静かなものなんだけど,今日の3頭は何だか知らないけど走っている。「やべー,もしも歩道に乗り上げてきたらどうすっぺ」と,ほとんど固まりながら牛の動きを注視していると,小生の真横で「ガシャーン!!」と音がして子供が二人ふっ飛んできた。この子たちは自転車に二人乗りをしていて,牛が突進してきたから道の端っこに寄った。その後ろから会社帰りのオッサンがバイクに乗ってやってきたのだが,このオッサンも牛に怖じ気づいて端っこに寄った。けどオッサン,バイクのスピードを落とさない。「どけー」と叫びながら(ヒンディなのでわからないのだが,それ以外に考えられない),そのまま子供の乗った自転車に激突。その後が悪い。子供たちを心配して当然なところであるが,突っ伏したままの子供たちに罵声を浴びせて,何もせずに立ち去ってしまったのである。この子供たちは身なりも汚いし,いわゆる後進階層に属する世帯の子供たちなのであろう。この子たちがそういう階層に甘んじなければならないのは,この子たちの責任では全くなくて,このオッサンが属する社会の仕組み故なのだ。こういうオッサン達は,そういう社会を変えようともするわけでもなく,都合よく利用しているだけだ。本当に腸が煮えくり返る。「Are you OK?」と問いかけても子供たちに英語は通じない。子供ゆえの反射神経でうまく転んだのだろう,すりむいた程度ですんだようだ。後ろから来た身なりのよい若者が,子供たちに何か話しかけていた。将来は,すこしはましなのかもしれない。
12/31のデリーの天気 最高気温19℃、最低気温6℃、平均気温12℃
12/31の東京の天気 最高気温13℃、最低気温2℃、平均気温8℃
大晦日,でも仕事モード
09/12/31