Taj 多事
Taj 多事
2009
モスクワへのフライトは10時25分。ヨーロッパの天候は相変わらず好転していないので,7時半にはチェックアウトしようと思う。6時半過ぎに朝食を食べにレストランへ行き,ニシンの酢漬けを腹いっぱい食べた。ブラッセルーコペンハーゲンがそうだったのだが,EUの短距離飛行ではエコノミーだと飲み物も食べ物も有料のようで,決して旨そうではないので買う気にはなれない。今日もモスクワまで飲まず食わずの可能性がある。チェックアウトのときに「今日は飛べるといいですね。もしものときは,またお待ちしています」「No. No, thank you」。全く神頼みだ。
空港に入った途端にまたなが〜い列。どこ行きだか知らないけど大変だなと思いつつ,SASのチェックインカウンターを掲示板で確かめると,このなが〜い列でした。早めにチェックアウトしてよかった。どうやらキャンセルとか遅延という情報はない。なんとか1時間ほどでチェックイン終了。ブラッセルに行ければ,セナ家にこれをお土産にしようと思っていたものがあったのだけど,いまとなってはどうしようもない。モスクワでは余り期待できないので,コペンハーゲンで調達することにした。ベルトもはずすセキュリティ・チェックを終えて,モスクワ行きのゲートでうとうとしていると,ゲートが変更になったので急いで移動してくださいというアナウンスが入る。おいおい,本当にゲートの変更だけだろうなと疑心暗鬼になってしまう。時間通りにボーディングになったが,デリーへトランジットする乗客はパスポート情報の転記が必要ということで,10分ほど待たされた。乗客がどうしても1名見つからないということで,出発が30分遅れた。予定では乗り継ぎに1時間程度しかないことになっているけど大丈夫だろうね・・・
コペンハーゲンからモスクワまでの飛行時間が約1時間半。やはりエコノミーには無料の飲み物,食べ物はない。モスクワに着く時間帯がランチとしてちょうどいいので,機内では何も食べないことにした。機内にあったNew York Timesの19,20日合冊版の1面はCOP15でオバマ大統領のなんとなく情けない顔写真が大きく掲載されていた。記事によれば45 000人がCOP15にノミネートされ,ベラ・センターの収容能力は15 000人分しかなかったそうだ。よって多くのNGOの関係者が排除されたとあった。NGOのは,英語のわからない途上国からの参加者のロジスティックを援助する役割などもあるのに,こういうことでよいのだろうかという疑問も呈されていた。
モスクワではビザなしトランジットの手続きが待っている。窓口は4つあるのに1つしか開いていない。そして30分経っても最初の1人の処理が終わらない。列には約40人が並んでいるけど,これじゃ全員終わるまでに明日になっちょうじゃないの。社会主義時代のソビエトでは物を作る活動しか生産と認められなかったので(MPS: Material product systemという社会会計体系),資本主義的市場が導入されてもサービス業というものが理解できず,特に接客のトレーニングが大変だと聞いている。それがこういうことだろうか。ところが,もう一つの窓口が開くと急に流れ始めた。もう一人来たら始めるからと一言いえばよいのに。
トランジットの手続きを終えて出発ゲートを確認すると,なんとモスクワ時間で16:15に出発予定だったのが17:55に変更されている。ランチを食べる時間だけあれば十分なのに,まだ3時間もある。心配なのは,セナさんにこのことを伝える手段がないことだ。いつもは搭乗する前に日本の奥様に電話をして,奥様からセナさんに状況を知らせてもらっている。今回は,コペンハーゲンで携帯を結構使ってしまったのでバッテリー切れで連絡がとれない。デリーでの車はモスクワを時間通りに出発するものとして手配してある。車を向かわせる前に,セナさんが何らかの方法で状況を把握してくれるとよいのだが。
見渡すかぎりこの空港に時計がない。小生の時計はコペンハーゲン時間のままで,機内放送の現地時間案内では時差は2時間と計算したが本当か?それぞれの免税店の前には警備員と思われる男性がトランシーバーを片手に睨みを効かしている。「Excuse me. What time do you have?」,通じない。今度は手で自分の時計を指しながら,「Excuse me. What time do you have?」,警備員のおじさんも自分の時計を見せてくれた。コペンハーゲンよりも2時間早い。
さあ,ランチに何かピロシキとかロシアっぽいものがないかと探してみたが, アイリッシュ・バー なんてのがあるのに見つからない。次のプライオリティはビールが飲めることなので,そういう店を見つけてロシアの生ビールと温かいハム&チーズサンドイッチを注文する。ここでビールじゃなくてロシアらしくウオッカにしてしまうと眠りこけて飛行機に乗れないなんて事態にもなりかねないので,ビールにしておく。英語は通じているのだが,お店の人が返す言葉はロシア語だ。生ビールをマグに注ごうとしたら出ない。前の客までは出ていたのに・・・缶ビールがおいてある飲み物置き場を指さして缶ビールにしろと言っている。でもさっき缶ビールを手で触ってみたら冷たくない。ロシアもイギリス式にぬるいビールを飲むのかしら?しょうがないから何だかわからないけど緑色の缶を選んだ。泡だらけにならないようにゆっくりビールを注ぐ。味は,ロシアだからどうだということはまったくない。サンドイッチも同じ。ただお店の人の言葉が確かにロシア語だということと,首都とは思えないなんとなく雪に閉塞された寂れた感じの空港の雰囲気がモスクワにいるという実感だろうか。映画「ドクトル・ジバゴ」のいろんな場面が頭をよぎる。そういえばコペンハーゲンのストロイエで大道芸人がバイオリンでドクトル・ジバゴのテーマを弾いていたっけな。
モスクワーデリーのアエロフロート便もほぼ満席だ。クリスマス休暇のインド旅行の人気は本物らしい。この便に乗れたのは,本当にラッキーなのかもしれない。モスクワーデリーは約6時間のフライトだ。アエロフロート便を使うのは始めてで,各シートにディスプレイが装備されているが,アルコールは有料。コペンハーゲンで浴びるほどビールは飲んだので,そろそろ肝臓を休めることにしよう。眠くなるまで映画を観ることにして「マミ,マミ」,「インディー・ジョーンズ4」,「ミッション・インポッシブル3」と立て続けに観る。「ミッション・インポッシブル3」は見始めたところでデリーに着いてしまった。インディラ・ガンディ国際空港に着陸したところで乗客から拍手喝采。ロシアの人たちの慣習だろうか。それともアエロフロートにあまりよい噂はないから,無事についておめでとうという意味だろうか。
すでにインド時間の3時半だ。予定より2時間半遅れている。イミグレーションは夜中いや朝の3時半とは思えないほど混んでいる。最後の最後までなが〜い列である。携帯の電源を入れた途端に携帯が鳴る。なんと日本からではないか。なんと小生が乗った便が0時50分に定刻通りに着いたけど2時間経っても出てこない,モスクワで何かあったんじゃないかと,セナさんが心配しているとうのである。なんだって,どの便が定刻通りに着いて,誰が乗ってないって??とどのつまりこうである。インディラ・ガンディ国際空港の到着ゲートの掲示板では,小生が乗ったSU533便は予定通りにモスクワを出発し,運転手が到着ゲートに着いた1時にはステータスが到着になっていたのだ。おー,いきなりインドに戻ってきたことを実感させられる出来事ではないか。すべてがこのいい加減さである。さすがにおかしいと思ったセナさんは,直接空港に電話して遅れていることを確認したそうで,小生が電話をかけたときには安心していた。結局,入国カードをきちんと書かないインドの人たちと英語の質問に答えられないロシアに人たちのおかげで,いつもは10分あれば十分なイミグレーションに1時間もかかってしまった。バッゲージ・クレームでは,ラインを1周した荷物が散乱している。Smile Innに到着したのは朝の5時過ぎ。それから日本に電話してとどのつまりを説明して,寝袋に入り込んだのは6時。今日はもう使いものになりそうにない。
12/21のデリーの天気 最高気温23℃、最低気温11℃、平均気温17℃
12/21の東京の天気 最高気温10℃、最低気温5℃、平均気温8℃
12/21のコペンハーゲンの天気 最高気温-1℃、最低気温-4℃、平均気温-2℃
COP15ーやっぱりインド
09/12/22
トランジットとはいえ始めてのロシア。これでBRICs制覇です。雪のモスクワ空港は,なんとなく閉塞感のある寂れた感じがしてしまいました。