Taj 多事
Taj 多事
2009
予期した通り,最終日2日間の入場はできなくなった。昨日会場を後にする寸前に国立環境研究所(NIES)のFさんと会った。もしそういうことになれば,いっしょにどこかに行きましょうという約束して別れた。こちらも,そのような事態に備えて,U先生が昨日からコペンハーゲンのエコ・ツアーができないかとデンマークの関係者に可能性を打診している。COP15の第1週には,デンマーク政府の主催するエコ・ツアーがあったのだが,交渉が本格化する今週にそのような計画はない。まさかデンマーク政府もこのような事態は予想していなかったのではないだろうか。デンマークでは風力発電が全発電量の20%をしめるという風力発電大国である。特に海上に何十基もの風車が設置されているウインド・パークは有名で,日本のJAXA地球観測センターの「地球が見える」でもウインド・パークの写真を見ることができる。
エコ・ツアーについては連絡がないが,デンマーク工科大学とRISOという研究所の教授を紹介してもらい,U先生がアポイントメントのメールを送ったが,その返信はまだない。10時になってもエコ・ツアーの連絡がないので,今日はNIESのFさんの知り合いでデンマークの大学院で勉強している方にCOP15関連の民間の催しを案内していただくことにした。
最初に,訪れたのはコペンハーゲン大学の催し。ホールではパネルが行われていたが,科学的な議論に基づいて議論するというよりは,イデオロジカルな環境主義者の集会という風で,早々に退散。ここでの催しは,環境にやさしい素材でパッチワークをするなど,全て参加して楽しむタイプのもので,一通り眺めて別に移ることにした。元NIESの研究員で北海道大学で研究している人に出会ったりと,結局COP15を追い出されたみなさんは行き場がなくてここに来ているようだ。さらに,そんなこともあろうと朝日新聞の記者も取材に来ていて,合計8人で20分ほど立ち話をした。今日の案内をしてもらっているFさんの知り合いは,14日,15日,16日と合計15時間も外で待たされたあげくに結局会場には一度も入れなかったそうだ。Fさんによると,日本人の中には早々に弁護士に相談した人もいるようで,宿泊および渡航費に関する訴訟を考えている人もいるとのことだ。
コペンハーゲン大学を後にして,ランチに街の中心に向かう。今日はとてつもなく寒く,思わず「あ”〜,45℃のほうがいい〜」と叫んでしまいました。今日も昼からビールを飲み,オープンサンドに舌鼓を打って,市庁舎の広場で行われている催し物に向かった。
ここでは,電気自動車など環境に配慮した技術の展示が行われていた。一つのブースでは,各国で代表的な環境技術を紹介している。たとえばデンマークは風力発電。ところが,ここでも日本の展示はない。そして,三菱自動車の電気自動車は,イギリスのパトカーとして展示されていて,日本人が見ればこれは三菱の車だと認識できるが,そうでなければイギリスは警察車両に電気自動車を採用しているんだで終わってしまう。どうみても日本のCOPに臨む態度はあくまで外交交渉であり,その場を全方位的な外交に使おうという意識が欠落している。 つまり政治と民は全く乖離してしまっている。この点が欧米との明らかな違いだとつくづく感じる。
最近のCOPではNGOの参加が多く,どのNGOもブースそしてプレゼンテーションについて他のNGOと組んで参加しなければならなくなったそうだ。Fさんの所属する国立環境研究所も,これまでは海外の研究機関と組んでいたのだけど,COP15では相手方の意向があり,他の2つ日本の機関と組んだそうだ。組織の名前に研究という文字が入っていても研究機関と呼べるのはNIESだけで,正直言ってあとはCOPの中心にいたお役人の天下り機関だ。トップには天下り役人と有名人が名を連ね,残念ながらかなり実績のあった引退後の大学の先生方の名前も理事にあったりする。どういうわけだか,こういうビッグネームが顔をそろえていると実績内容とは無関係に「研究」資金が流れ込む仕組みなっている。その研究資金の一部は,たとえば小生がいまお世話になっているTERIへの委託として使われ,研究成果として報告され,それが実績になってしまうのだ。そしてCOPへの参加も研究に必要ということで,天下り役人や有名人が来ている。その中には亡くなられたフジテレビの逸見正隆さんとニュースを担当し「こんばんわ,XXです」で一世を風靡していた元女性キャスターも「一度くらいは,行ってみたいわ」の一言で連れてくることになり,急きょプレゼンテーションの司会をさせるという馬鹿げたお金の使われ方もしている。COPというのは将来のことを議論する場である。できるだけ若い人が参加し,その雰囲気を実感し,研究なり活動なりに役立てるべきなのだ。もう枯れてしまった人は,本当にその人が必要ならPartiesとして政府が連れて来ればよい。政府にその意思がなければ必要ないというまでのことだ。Fさんも,こういうところの委託研究をTERIが受けるのは,金は入るかもしれないけど,結局無駄な時間を費やすことになりかねないし,日本国内の資金配分を歪めることにもなるから,できるだけ控えたほうがよいと進言していた。まったくその通りだ。問題は,そういうことが知る人ぞ知るになってしまっていることだ。小生も始めて聞いた。
この季節のコペンハーゲンは,朝9時ごろから明るくなり始め,夕方4時半には暗くなってしまう。日中もほとんど太陽が顔をみせず,今日のように雪模様だと心底寒い。市庁舎広場の展示を後にして,カフェで休憩をして店を出たときには暗くなってしまっていた。同行した2名は,これからスウェーデンのマルメ市に向かうということなので,ここでFさんたちとお別れした。こうして知り合いの輪が広がるのは,とても楽しい。
12/17のデリーの天気 最高気温23℃、最低気温11℃、平均気温17℃
12/17の東京の天気 最高気温10℃、最低気温5℃、平均気温8℃
12/17のコペンハーゲンの天気 最高気温-1℃、最低気温-5℃、平均気温-3℃
COP15ー行くところはみな同じ
09/12/17
市庁舎広場のFuture Cityの中央に出現した地球儀。夜になるとライトアップされます。ストロイエから歩いてくるととても幻想的に見えました。