Taj 多事
Taj 多事
2009
今日は、午前中にLaBLを村に紹介し、LaBLを実施する村と充電ステーションを荷なう世帯を選択するのに中心的な役割を果たすNGO HPPIに協力する草の根の人達のトレーニングをHPPIの事務所で行い、午後には太陽電池ランプを使うことになる村人たちとの懇談会を村に出向いて行った。
昨日の充電ステーションを荷なう企業家の卵達への講習会は、TERIからの説明という色が濃く、TERIのメンバーが交代で説明にあたったので、担当でないメンバーがわれわれに英語で説明してくれる余裕があった。今日は、出席者との意見交換という色が強く、TERIのメンバーもわれわれに説明している余裕はない。
HPPIに集まった草の根の人達は、HPPIが実施する村落での貧困削減や人的開発や環境保全の活動に携わっている人達で、村の情報に熟知している。今日の集会では、LaBLを実施する村の選択および企業家世帯の選択をいかに行うかに関するセッションで大いに議論が盛りあがっていた。このような農村の支援活動も、そのプロジェクトがスムースに進行するようにセレクション・メカニズムが働いているのが実態で、最初から村の隅々まで支援を行き届かせるというわけにはいかないようだ。もちろん資金が十分でないとうのも制約の一つである。したがって、LaBLのようにモノを持ち込むプロジェクトでは、村人の間に不公平感が生じてしまうことを否定できない。
出席者全員がHPPIの事務所の廊下の壁に沿って座って昼食をとり、ヴィラト村に出発する。向かった場所は、村のヒンドゥー寺院で、そのゲストハウスのテラスに村人が集まっていた。車から出るとまさに砂漠で、照りつける陽射しは強烈で、体に感じる温度は35℃を超えているように思う。村に限らないのかもしれないが、日常の生活で女性は家を離れることはない。家事、子供の教育、家畜の世話、薪集め、牛糞燃料作り、家内工業は全て女性の仕事だ。一方男性は、農作業、家畜追い、出稼ぎなど外で仕事をする。したがって、太陽電池ランプをもっぱら使うのは女性達である。村を仕切っているのは男性であり、こいう集会への出席を呼びかけ、連れてくるのもの男性の役割だ。したがって、集会には男性も女性も集まっているが、話のターゲットは女性にある。
ということで、太陽電池ランプの仕組みと使い方をごく簡単に男性に説明し、全員にスナックを配って男性陣は解散。ところがスナックを食べ終わったあとの紙袋を全員がテラスから外へ投げ捨ててその場を立ち去って行く。彼らには、ゴミをゴミ箱に捨てるという習慣はないのである。確かに彼らの日常から出るゴミは、野菜の皮など自然に返してやれば問題のないものがほとんだが、都市部から持ち込まれたプラスチックなども区別なく放ってしまう。このような集会は、ゴミ箱に捨てるという習慣があることを教えるよい機会だ。ジャネイルに、黙って見てないでポイ捨てしないように教えたらどうだと進言してみると、彼はHPPIのメンバーにそのように伝えた。でもHPPIのメンバーは、村人には伝えず、村人が帰ったあとに自分たちでゴミを拾っている。HPPIのメンバーにしてみると、そのようなことを強要して、プロジェクトが浸透しなことを恐れているのかもしれないが、それは違うと思う。今度同じような機会があれば、われわれが箱を持って、ここに入れろと指示するのが効果的に思う。今回それをしなかったのは大いなる反省点だ。
男性陣が退散したあとで、女性達への集中セッションがダーリアを中心に行われた。男どもの暢気さに比べて、眼(まなこ)は真剣である。
集会終了後、昨晩尋ねた村で少々問題があるというので出かけることになった。われわれにとっては、実際の充電ステーションの活動と各家計で太陽電池ランプが使われている様子を観るよい機会になった。最初からわかっていた問題点は、日々の記録の付け方と充電装置が思うように働いていないことだ。この世帯では、母親が字を書くことができず、記録は小学生の子供に任せている。その子に記録の付け方を再教育するのが訪問の目的の一つ。もう一つの問題の方は、屋根に上って太陽電池モジュールを点検してみると鳥の糞やら何やらでそうとうに汚れていたようで、とりあえずパネルを綺麗にして様子を見ることにしたようだ。
日が暮れてから、ランプを使用している家を訪問する。訪問する道すがらすれちがう村人から、TERIのメンバーは新たな問題をぶつけられる。ランプを使う人達は、日々使用量をRs. 2払うのではなく、ある程度先払いしている。ところが使い方の問題であろうがランプが動作しなくなり、支払ったお金をどうしてくれるんだという不満がTERIのメンバーに向けられた。この村でプロジェクトがj実施されるようになって2ヶ月ほどであり、メインテナンスの仕組みが十分にできていないことが明るみに出た。
プロジェクト予算の都合上、各村に配布されるランプの数は50個に限られている。そして50個のランプはあらかじめ企業家世帯によって決められた家計に割り当てられる。TERIのメンバーも、それがどのような理由で割り当てられたかを把握していない。このような仕組みは、当然太陽電池ランプを使用出来ない家計による妬みの対象になり、その不満がTERIのメンバーにぶつけられる。使用量を滞納しているのに貸し出してしまうケースもあるようで、自分たちは使用量が払えるのにランプを使えないのはなぜだという、ランプの初期配分の根本的な問題も浮き彫りになった。経済学の問題としてはおもしろい課題である。
太陽電池ランプを壊してしまった家計で、偶然にも灯油ランプだけの生活を見ることになったが、たしかに太陽電池ランプの明るさはまったく比べ物にならない明るさで、生活の質におおきな違いをもたらすのは明らかで、使える使えないの不公平感を取り除くメカニズム導入は大きな課題だと認識した。
ゴミはゴミ箱へ捨てましょう
09/01/28
ヒンドゥー寺院のゲストハウスのテラスで催された講習会。日常生活で太陽電池ランプを使う女性達の眼(まなこ)は真剣そのものです。
男性陣は一通りの説明を受けて、差し入れのスナックを食べ終わるとご覧のありさま。ゴミはゴミ箱に捨てることを教えるよい機会でしたが、できなかったことを反省しています。
太陽電池ランプが食事の準備に使われている様子。下が、灯油ランプだけの生活です。その違いは明らかだと思います。おまけに化石燃料を必要としないで、さらに無公害ということであれば、導入を促進したいと考えるのは自然です。