Taj 多事
Taj 多事
2009
5時起床。寝た時は感じなかったが少々寒い。シャワーを浴びようと思うが、お湯の蛇口をひねっても何も出ないので、体を拭くだけにする。7時に食堂へ朝食に向かう。外はかなり冷える。客が誰もいないので、開いているのかと店員尋ねると、座れと言うので座って待つが、なかなかメニューも出て来ないので催促にいく。野菜お好み焼き(Vegetable Upttam、Rs. 50)と野菜スープ(Rs. 50)を注文する。両方とも初めて食するが、なかなかの美味。出発時間まで10分を切っているので、急いで部屋に戻る。
今日は、昨日訪問したのとは別の充電ステーションのあるヴィラト村(Virat Nagar)の世帯で、これから充電ステーションを開設しようという将来の企業家たちをラジャースターン州の村々から集めて講習会が行われる。
7時40分の集合時間にロビーへ出ると、ほぼ同時にダーリア、ちょっと遅れて東大のMさんが出て来た。TERIの男性陣3名が出て来ないのでダーリアが確かめに行くと、1人が用を足している最中で、2人が待機中だという。その間、ダーリアから霧で太陽電池を十分に充電できない問題に対するTERIの対策案などの話を聞く。結局、男性陣が全員そろったのは8時。車に乗り込むが、今度はゲートの鍵が閉まったままで、これを開けてもらうのにこれまた随分と時間を要して、最終的に出発したのは8時15分。
8時45分にHPPIに到着。ここで一部の出席者と合流してヴィラト村に向かう。おそらく砂漠のような気候のせいだと思うが、人々の姿もデリーで見かける光景とは全く違う。女性は、サリーではなく、上下がセパレートされた衣装で、原色系の布にキラキラ輝くものがふんだんに散りばめられている。熱さ避けのためであろう、ストールを頭からかぶり顔を全く隠している女性も多く観られる。男性に特徴的なのはターバン。彼らはシック教徒ではないが、頭に布を巻いている人が多い。これも熱さ対策で自然とそうなったものであろう。かなり大きなターバンをしている人が目につく。
HPPIは子供たちの学校に建物を開放しているが、改修工事中で子供たちは青空学級で授業を受ける。写真を数枚撮ったのだが、生徒達がカメラの方を向いてしまって、授業を撹乱してしまった。先生ごめんさない。このNGOでは、グリーン・アクションという農村におけるバイオ燃料のプロジェクトも手がけていて、その話を10分ほどプロジェクトリーダーのヨギさんから聞いた。これも産業連関分析の対象になり得るので、できれば現場を見たいものだ。ヨギさんは、明日ぜひ紹介したいと言ってくれたのだが、そのような時間が取れるのかどうかよくわからない。
昨晩は、暗闇でまったくわからなかったのであるが、この周辺には、アメリカ西部やオーストラリアのように小さな岩山がいたるところにあり、その合間を車が抜けて行く。岩山のない所には一面に畑が広がり、所々に村落があり、住居の数もかなりあり、人も多く外へ出ている。ただ住居のほとんどは土壁に藁葺きで、庭先には牛や山羊が飼われている。
手渡された資料には9時半受付開始となっているが、 会場に到着したのが10時。パチャウリ所長が遅刻を問題視するのもわかる気がする。これから会場設営だ。会場は、充電ステーションがある家屋の屋上で、こちらも青空教室。屋上に毛布を敷き詰め、そこに座り込んでやる方式だ。映画『ガンジー』でも、同じような光景があったが、インドの伝統的な集会のやり方なのだろうか。会場設営の間、こちらは写真撮影などして過ごす。よく見ると電線が来ているのだが、デリーで停電が起きるのと同じ頻度でしか電気が来ないので、実質的にないのと同じだそうだ。
11時頃出席者もほぼ全員そろうと、サモーサとチャーイが振る舞われ、11時半に講習会開始。もちろん講習会はすべてヒンディで行われる。最初は全員の自己紹介で、Mさんと小生は後方から見学していたが、小生達とフランスTVスタッフも自己紹介することになった。なんとMさんは、見事にヒンディで自己紹介。負けずにというわけにいかず、英語で勘弁してもらった。
講習会の前半は、太陽電池ランプと充電ステーションの概要と技術的な解説が行われた。LaBLのやり方は、充電ステーションを村から選ばれた一世帯に任せ、その世帯が太陽電池ランプを貸し出す業務を行うことによって収入を得るメカニズムを作り、ランプの普及を促進させると伴に、その世帯が企業家として成長することも念頭においている。前半だけでも休憩なしで3時間以上にも及んだが、普段は農業に従事する出席者達は、企業家になるべく真剣に話に聞き入っていた。
話の合間に回りの景色を観察すると、大きな鍋のような金属製の容器を持った女性が、住居の回りで牛糞を集めて歩いている。それらを丸めて平らにして、乾燥させて燃料にする。それが、農村の独特の臭いのもとであるが、砂漠のような気候の中では臭いという感じはせず、日本でも田舎暮しの小生にとってはなんとなく懐かしい臭いである。Mさんが聞いて来たところによると、なんとこの辺りの家屋には厠というものがなく、男女を問わず自然から吸収したものを自然にそのまま返すのが習慣だということだ。それでも臭いは感じない。
昼食は、手作りのプーリー(Puri、揚げパン)と野菜カレー、そしてスイーツが振る舞われた。食堂で食べるのが馬鹿らしくなるほど旨い。プーリー4枚とカレーを2杯頂戴した。
後半は、充電ステーションの運営の仕方の講習で、日々の記録の付け方などの説明が行われた。Mさんと小生にも最後に出席者に質問する時間を頂戴した。18村落からの出席であったが、そのうち4村落では全く電気が届いていないそうだ。電気が届いている村落でも、灌漑用の電力以外は、使えないのも同然で、太陽電池ランタンが必要だということだ。出席者の一名は、灯油ランプをつけたまま寝てしまい、あわや一酸化炭素中毒になるという経験をしたそうで、早く太陽電池ランタンに切り替えたいと訴えていた。調理には薪と牛糞燃料を用い、LPGを使用している世帯は一つもなかった。最後に、LaBLに最も何を期待するかという問に対して、一人だけが副収入の増加という正直な回答をし、子供の教育効果、健康の改善などをあげる出席者が多かったのは、主催者のTERIのメンバーの手前、本音が出なかったのかなという感じであった。
5時半に後片付けも含めて全ての日程を終了。帰りがけに太陽電池ランプを使用している世帯で話を聞かせてもらうことになった。この家計にしても10人家族で一つの太陽電池ランプしかない。LaBLが実施されるまでは灯油ランプを使っていて、煙と臭いのない太陽電池ランプの効用をまず第一に掲げていた。ただ、太陽電池ランプは3時間から4時間程度しかもたないので、そのあとは灯油ランプを併用しなければならないそうだ。6時間使えるなら全部でRs. 5払ってもよいとおばあっちゃんが言っていたのは面白かった。太陽電池ランプの用途の一つに農作業があった。なんと農業用の電力は夜に供給されるそうで、夜に農作業をすることが多いのだそうだ。夏の昼間は暑すぎて農作業ができないというのも一つの理由だそうだ。
なぜか近所の子供たちや女性たちも集まってきてしまったので、最後に記念撮影をした。いつものことではあるが、全員がはいらないので後ろへ下がれというのに、どんどんカメラに近づいてくるのには困ってしまう。挙げ句の果てに、現地の典型的な衣装に身を包んだ馬に乗ったお爺ちゃんが現れ写真を撮れという。1枚撮ると、お前が馬に乗れと言われたが、けっこう元気な馬だったので遠慮させてもらった。1枚写真を撮ってしまうと切りがないという感じになるのが常で、なんとか振り切って車に乗り込み帰途につく。
7時頃ホテルに到着したが、TERIのスタッフはヘトヘトで食事はルームサービスで済ませると言うので、Mさんとコヒー・ショップでコーヒーとサンドイッチで軽く夕食を済ませ部屋に戻った。
初めての農村
09/01/27
NGO HPPI(Humana People to People India)の敷地内にある学校。校舎が改修工事中で青空教室です。一日の始まりはサンスクリットの読唱で始まりますが、カメラを向けるとみんなこっちを向いてしまいます。先生ごめんない。
土壁と藁葺き屋根の典型的な農村の家屋。回りでは牛や山羊が飼われています。女性たちは牛糞を集めて燃料にします。
ラジャースターン州の18の村落から集まった将来の企業家達も青空講習会でTERIのスタッフの話に真剣に聞き入っています。
フランスのTVスタッフも取材で同行しました。
充電ステーションの家屋の屋上に設置された太陽電池モジュールです。
帰りに寄ったお家に、近所の子供たちが集まってしまったので記念撮影。
なぜか馬に乗ったお爺ちゃんが写真を撮ってくれとやってきました。このお爺ちゃんの衣装が典型的な現地の人達のものです。