Taj 多事
Taj 多事
2008
6時半起床。今日は、Rickshaw乗り場で、いつもの「オジさん」と、いつもの「オニイさん」が二人してこっちへ来いと手招きしている。いつかは、こういう日が来るだろうと予想していたが、「オニイさん」には「今日は、ごめん」と一言いって、「オジさん」の車に乗り込む。単純に比較して「オジさん」を選ばない理由はない。安いし、運転が丁寧だ。「オニイさん」も年配の「オジさん」に敬意を表して気持ちよく譲ってくれたものと願う。「オニイさん」には、Rs.10の貸しがある。昨日、Rs.100札で支払ったのだが、釣りがないので、次のときにまとめてということになっていた。今朝の一件で忘れ去ってしまわないといいのだが。
今日も、ASI(Annual Survey of Industry:工業年次調査)の電力消費についての整理を続ける。昨日も書いたが、消費金額と消費量から単位当たりの価格を計算すると只同然で電力を使っている事業所と、平均1KwhあたりRs.4からRs.5のところRs.5000も支払っている事業所も出て来る。これらは明らかに記録上の誤りなので、下位0.5%と上位5%を刈り込んで、ヒストグラムを書いてみると、1KwhあたりRs.4からRs.5を平均に左右対称な正規分布を彷彿とさせる分布になった。
ちょと遊んで、ノンパラメトリックに密度のカーネル推定をして、推定された密度を描いてみると二峰分布のように見える。インドの電力料金は、消費者によって差別的な料金体系になっている。家計と農業には多大な補助金を出し、その分製造業と運輸に高い料金を課している。ASIは、製造業に対する調査であるが、精米などを主たる活動とする事業所などには、農業に近い料金が設定されているとすれば多峰性は出て来るし、農村部と都市部で料金体系に違いがあっても多峰性は出現する。つまりデータがきちんと制御されていないことによって多峰性が出てきた可能性がある。制度を確認して、それに対応してデータをコントロールして再確認する必要がある。
統計学的にも、単峰であるという仮説が棄却できればおもしろい。SilvermanテストとDipテストという二つの検定量が使われることが多いようである。経済学の文脈で様々な単峰性のテストを試みている論文を読んでみたが、Dipテストは他の検定量とかなり違うを出している。ということでSilvermanテストを試みることにした。ところがRには、この検定の実装がない。ということは、自分で書けということね。カーネル密度推定、経験分布関数からブートストラップ標本の抽出、シミュレーションによる多峰性生起確率の計算と、結構計算量が多い。またまた寄り道であるが、いずれの手法も最近の計算統計学には必要な手法なので、きちんとやっておこう。ということで、作業を離れて統計学の文献を読んだり、実験プログラム書いたりして遊んでしまいました。
昼は、Gulab’sでMatar Panner(エンドウ豆とチーズのカレー、Rs.55)とRoti2枚(パン、Rs.6)を食べた。階段を上っていくときに若いウェイターさんとすれ違ったので、「ハロー」といったら「ハロー、いらっしゃい」と聞こえたが、気のせいか?あいかわらず美味いです。味噌汁とか納豆とか蕎麦などが恋しくなってもよさそうなのだけれど、Gulab’sを一日欠かすとGulab’sの味が恋しくなってしまうのは病気でしょうか?
6時にTERIを出て、Mr. Singhの車でShakarpurへ。途中ヒンディでHow are you?を教えてもらったのだが、すでに忘れてる...「ケイセイホー」だったかな?食べ物は、すぐに覚えるのに。メニューをしょっちゅう見ているおかげかな?
家に戻って、TVをつけるとムンバイからの生中継だ。Taj Hotelの近辺にものすごい数の人が集まってPeace Marchをしている。中には、マハトマ・ガンディーの仮装をして非暴力を訴えかけている人もいるが、目立ってTVに写るのは、次のようなプラカードをかかげた人々だ。「Remembering 11.26」、「Remembering the Victims」、「United for Mumbai」、「Action Not Words」、「 No More Excuses」、「Let Us Declare War」、「Enough is Enough, Go for War」、「Yes, We Can」(これはオバマのパクリ)、「愚かな政治家のせいで、市民が犠牲になる」。アメリカが1ヶ月前に、今回のテロの可能性をインドに伝えたが、一旦警戒体制に入ったものの、解除した直後に11.26が起きたという報道がされたせいかもしれないし、怒りのやりどころがないのもわかる。しかし、この熱狂的な雰囲気が怖い。「政治家にまかしておいてはダメだ、市民が起ち上がらないと」、このエネルギーを別の方向に向けてほしい。もちろんテロは、一掃しなければならない。8時10分ころからライス米国国務長官とMukherjeeインド外相の共同声明が生中継で発表された。要旨は、米印は、テロの一掃のためにこれまで以上の密接な関係を構築する。パキスタンは行動しなければならない。パキスタンは協力すべきである。少なくとも両国の代表者の口から軍事行動ということばが一言も出なかったのが、いまのところの救いである。
民衆のパワーの行きどころ
08/12/03