Taj 多事
Taj 多事
2008
6時半に起きてTVをつけると、Nariman House上空にヘリが飛び、軍隊がビルに侵入するところを中継している。TV中継も何時間続いているのだろう。軍隊の出動規模といいい、戦争という感じを受ける。シン首相も具体的な名前をあげなかったものの、明らかに隣国パキスタンを避難した談話を国民に向かって発表した。これ以上規模が拡大しないことを願うしかない。昨晩家に戻ったのは10時半であったが、その時間でも子供含めて多くの人が外に出ていた。この地では、夕食が遅く、それが普通と言えば普通なのだが、Shakarpurでは、こんなときにでも夜遅くに爆竹を鳴らす馬鹿者がいる。そいうものに慣れていない外国人にとっては、何か起こったのではないかと気が気ではない。
Rs.80のRickshawでIHCに出かけ、8時半には着席。昨日からは、個表の物理的な不具合ではなくて、中味の異常値との格闘が続いている。たとえば、平均で1KWhの電力に対してRs.4からRs.5支払っているところを、Rs.5000支払っている事業所がある。明らかに消費電力量をKWhで報告すべきところをMWhで報告してしまっているエラーである。これほど明らかなエラーは、修正したり、標本からはずせばよいのだが、当然そんなものばかりではない。生産額を報告していても、従業員数を報告していない事業所もある。こんな事業所ばかりだと労働の生産性が随分と高く評価されてしまうことになる。つまり、測定エラーが、産業とか地域(農村と都市)の平均や集計量にどういう影響を及ぼすかが問題だ。理論でよく仮定されるようにエラーの平均はゼロなら問題はないのであるが、規模の大きな事業所やある地域で系統的にエラーが発生していたりすると厄介なことになる。インド政府の報告している集計値は、測定エラーにおかまいなく、個体の値を標本抽出に用いられる乗数で膨らませた値を産業や地域に集計した値が報告されていることは確認できた。
添付されている説明書を読むと、標本の設計や抽出の仕方については、標本調査論にのっとって、きちんとなされているようである。問題は、調査されたデータが上がって来たときに、その中味の確認がどの程度できているかである。この点については、疑わざるを得ない。おそらく、そのような仕事をする人材が量、質ともに十分に配置されていないのではないかと思う。小生が最もよく使う産業連関表というデータにしても、10億人の人口を抱える国のデータを、たった二人で推計している。小生が、ちょっと使っただけでも、いくつかの不具合を見つけることができる。行政として統計を扱うエキスパートの知識が活かされずに、国際標準を表面的に満たすことに終始し、機械的な推計作業に頼りきりになって、いったん出来上がったものをチェックする機能に欠けているというのが感想だ。
インドでは、政府の計画委員会が策定する経済5カ年計画が経済の運営に大きな影響力を持っている。経済計画を策定する段階で経済統計は重要な役割を荷なうはずである。その意味でも、トレーニングされた人材を統計作成と計画の策定の現場により多く配置されることが必要である。しかし、膨大な人口を抱えて安価な労働が豊富に存在する一方で、質の高い人材が圧倒的に不足してるというのは、多くの人が指摘するところである。こういう側面を考えてみても、目先の経済成長よりも、教育、社会保障、公衆衛生、環境、インフラへの投資を拡充して、その効果が隅々まで行き渡るする仕組み(社会保障政策の一部かもしれない)を構築して、長期的な発展を目指した資源配分が必要なのではないだろうか。
昼は、Gulba’sでThali(定食)を食べる。まだ、Gulba’sのメニューを全部制覇したわけではないが、気に入ったものは、二巡目に入っている。
6時にTERIを出て、Mr. Singhの車で家に戻る。まだ、Mumbaiの事件は解決していない。
Mumbaiまだ解決せず
08/11/28