Taj 多事
Taj 多事
2008
6時30分起床。今朝は、起きてすぐに水が出るかどうか確かめる。大丈夫。セナさん宅があるブロックはスクールブロックと呼ばれ、すぐ近くに小学校がある。小生が出る8時頃には、親に手を引かれて学校に通う多くの児童とすれちがう。歩いて通えない子は、一人でAuto Rickshawに乗ってくる子もいれば、何人かでCycle Rickshawに乗り合わせてくる子供たちもいる。あるいは、オレンジ色の小さなバンがスクールバスとして子供たちをぎゅうぎゅう詰めにして連れてくる。スクールバスがオレンジというのは米国でも同じであったが、世界共通であろうか。日本には、そもそも小中学校のスクールバスというのものがなくて、諸外国だったら当然バス通学の距離を歩いて30分、40分かけて通っている。なぜか今朝は、毎朝Rickshawを拾うところにスクールバスだけでなくて、バスというバスが一斉に集まってしまって、大変な混雑になっている。当然Rickshawもなかなか来なくて、やっと捕まえた一台がRs.100を譲らないので、もう少し待って言い値でRs.70の車で出発。Rs.100の車がまだ客を捕まえられずにいたので、ちっちゃくガッツポーズして隣を通り過ぎた。8時35分着席。
インドの統計というのは、嫌になるほど分散化されていて、公表される部門分類がとても粗い。たとえば、製造業については製造業としての集計量しか公表していない統計がほとんどだ。国民経済経済計算も然りだ。一方で、個表と呼ばれる調査の生データが購入できるというメリットもある。日本では、この類いのデータをわれわれ私立大学の研究者が使うためには、科学研究費などの政府の研究資金を獲得して、その研究で使うことを前提に政府に申請をして許可を得ることができたらようやく使うことができる。
小生の研究グループでは、2、3年ほど前から、インドの製造業に関する生産の調査(登録事業所に対するASIと非登録事業所に対するNSS)と家計に関する消費の調査の個表をインド政府から逐次購入してきた。集計度の高い公表データに含まれている情報を、これら個表を用いていかに有用な情報を引き出して、分析に耐え得る程度の情報に細分化できるか非常に重要なポイントになる。これらのデータは、データを読む段階からプログラムを書いて処理しなければならない。TERIの人達にも、こういう能力を身につけてほしいのだが、それを待っていては、先に進むことができないので、小生がこの部分は担当する。プログラムを書く能力というよりも、個表を使うことのおもしろさを知ってもらって、そのためには道具として簡単なコンピュター言語をしっておくと便利であることをわかってもらうのがよいだろう。近い将来には、もっと便利な形でデータが提供されるようになるであろうから、どうように調査されたデータであるのかといったデータの統計的性質の理解と、それに対応した統計的方法の理解がますます重要になってくるだろう。
とにかく今は、この生データと格闘しなければならない。格闘と書いたのは、データのレイアウトなどの資料は提供されるてはいるのだが、実際のデータがそのレイアウト通りとは限らない。限らないというより、一調査につき必ず一つは不具合が発見される。これをきちんと処理しておかないと、あとでとんだしっぺ返しを喰うので、慎重に作業をすすめることが必要だ。最低でも自分の書いたプログラムに虫が巣食っていては話にならない。これを回避するためには、行数が少なくて見通しのよいプログラムを書くこと、そしてそれができる言語を選ぶこと。今は、Pythonという軽量言語を使っているが、おそらく従来の半分以下の行数のプログラムになっている。
今回もご多分に漏れず、そのぞれの調査で一つずつ問題が発見された。ASIに至っては、インドの標準産業分類にない産業コードが記録されている。この産業分類コードというのも重要なデータで、こいうものこそExcelなどのスプレッドシートで提供してもらえるとありがたい。Excelなぞは、その程度にしか役に立たないのだから。でもこういうデータが、インドではワープロ文書であったり、最悪の場合はPDFだったりする。これをデータとして使えるように整理するだけでも、1000行近くあるので半日作業になってしまう。
このようにこの三日間は、昼にGulba’sに出かける以外は、朝8時半から夕刻6時までコンピューターの前で固まったように作業をしている。帰る頃には、体もバリバリという感じだ。バリバリなのは、別の理由で、本当にバリバリなのかもしれないが。今日も6時にMr. Singhの車でShakarpurへ戻る。やはり1時間近くかかってしまった。帰り道の途中でIndian International Trade Fairが開催されていて、その帰宅客のせいで混んでいるので、この混雑も明日までというのが、Mr. Singhの見解だ。そう願いたい。
南インドの方は、Nishaという台風の接近で相当な量の雨が予想されているらしい。こちらは、台風の気配などまるでない。よく考えてみると、ニュースでも天気予報を全然やらない。需要がないのかしら?たしかに、昨日も晴れ、今日も晴れ、明日もまちがないく晴れ、降水確率は常にゼロ。天気予報は要らないかもしれない。
今、10時45分。ニュースを見ていたが、Mumbai(旧ボンベイ)の南にある駅で火災があり、15人が怪我をしたというニュースが入ってきたが、爆発があったという情報や、銃撃があったという情報が錯綜している(キャスターもレポーターもえらい勢いでしゃべっているので、小生の聞き取り能力のせいもある)。文字だけの情報が続いたが、急に中継が入った。ただ、ひどい映像で、おそろしいほどに血まみれの人間が運ばれている。生きているようには見えない。ニュースの画像処理が間に合わずに放送してしまったようで、急に画面全体を赤くして血の色がみないようになった。どうやら二カ所で別々に爆発があったようである。またテロのようだ。11時20分を過ぎた頃に、TVのテロップも「Terror strikes Mumbai again」に変わった。
Mumbai was attacked again
08/11/26