Taj 多事
Taj 多事
2008
6時半起床。8時に家を出て、Rs.90のRickshawで、IHCに向かう。この運転手も初めてじゃないと思うんだけど、Rs.100をふっかけてきた。小生が乗ると運転手が老人に声をかけ、その老人はなんと運転席に運転手といっしょに腰掛け出発。どこかで降りるのか思いきやIHCまでいっしょで、さらに代金はこの老人が受け取ってしまった。親子か?8時25分着席。
10時半ごろに、最初に今の小生のデスクを割り当ててくれたAdminのオジさんがやってきて、「TERI大学のConvocationを見ることができるけど、行くか?」と聞く、正直ってconvocationとは何ものか知らなかったので、少々きょとんとしていると、有無も言わせず「Come, come」ということで、別の建物へ連れて行かれた。そこはホールで、正面にはTERI University Second Convocation Ceremonyと幕がかかっている。さらに壇上の真ん中には、Pachauri氏がガウン姿で四角い帽子をかぶって座っている。TERI大学の卒業式か?小生を連れて来たオジさんは、サリーで着飾った女性に小生を預け行ってしまった。彼女が案内してくれるらしい。満員で、一番後方に3Fの研究仲間が立っていたので、仲間に入れてもらおうとすると、エスコートしてくれる女性がダメだといって、なんと最前列のど真ん中に座らせれてしまった。これは、TERI大学の学位授与式で、小生は来賓席に連れてこられてしまった。しかも、正装どころではなくて、ノーネクタイは、少なくとも来賓席には誰もいない。なのにど最前列のど真ん中に座らせるなよ...おまけに式は、すでに始まっているから、そこまでに行くのに目立つじゃないですか。
ほどなくTERI大学総長としてのPachauri氏の挨拶が始まった。続いて、交換プログラムを実施しているYale大学のRichard C. Levin学長が来賓の祝辞を行った。その中で、Yale大学の温暖化問題への取り組みが紹介された。まず驚かされたのは、Yale大学は温暖化防止のために、エコビルディングや冷暖房、電灯などに、これだけの費用をかけ、エネルギー使用量でこれだけ、CO2排出量でこれだけの削減を行ったと、数字をあげて明確に言うことができるということだ。さらに、学生には、教室、トイレ、宿舎の電気の無駄遣い、コンピューターをつけっぱなしにしないなどの行動を徹底させ、これについても、エネルギー使用量とCO2排出量の削減量を明示的に示してお話しになった。さらに「大学が持続的発展や温暖化防止のための科学的な研究をやるのは当たり前である。ここTERI大学においても全てのプログラムは、持続的発展に結びついている。世界の中で、そのような取り組みをしている大学は数多くあるだろうが、巨額の研究資金をこの問題に割り当て、多くのスタッフを割り当て、真摯に取り組みかつ成果をあげている大学として、TERI大学、Yale大学のほかに、東京大学とMIT、コロンビア大学の地球研究所をあげなければならないだろう。研究は当たり前のことで、いまやこの問題に人や資金を割り当てることを躊躇している大学があるとすれば、どんな存在意義があるというのだろうか。研究以外に、Yale大学の建物などへ実際に投資をするという取り組みは、まさに大学だから必要なのである。それは、投資をすれば、それもたいした額ではなくても、効果があるということを学生が知ることができるということが大事なのだ。また電気のスイッチのオン・オフをこまめにやるということが効果的あることを、実際の削減量を見て具体的に知ることができる、それが大事なのだ。学生は大学で学んだことを必ず社会に出て実践する。だから大学でこそ、このような取り組みを実際に行い、その効果を定量的に示すことが絶対的に必要なのだ。それを学生に実感させるために、キャンパスを持続可能性という概念を軸に一新したTERI大学には未来がある」と締めくくった。
正直凄いと思った。もちろんPachauri氏が総長の大学での祝辞であるから、多少の誇張はあるだろうが、それを抜きにして、凄いと思った。我が大学は、150周年ということで建設ラッシュである。150周年の記念事業が、社会が解決しなければ問題について、具体的にこういう貢献をしている、こういう意味でこれだけ「未来への先導」になっていると、お題目だけではなく示すことができるのだろうか?有名人がロゴを作ったとか、だれだれの設計だとか、そんなことだけで終わってやしないだろうか?
ここにもう一度、Jeffery D. SachsのCommon Wealth, Economics for a Crowded Planetの最終章のメッセージを抜き書きしておこう。
Here are (eight) actions that each of us can take to fulfill the hopes of a generation in building a world of peace and sustainable development.
(First), learn about this generation’s challenges. Become acquainted with the underlying science of sustainable development. Those in school should take classes in environment, development economics, climate change, public health, and other relevant fields. For those out of school, find ways to stay abreast of scientific developments. The weekly and monthly leading scientific publications - Nature, Science, New Scientist, Discover, Scientific American - are must-read for our age. Nobody can master each article, or even a modest fraction of the most technical of them, but each of these publications gives a general update of recent discoveries as well as coverage of the main challenges of science policy. Countless high-quality Web sites, such as realclimate.org(on climate change), also enable each of us to stay aware of serious scientific thinking and advances.
おそらくLevin Yale大学学長が祝辞で例示した大学は、すでにこれを実践し、大学としてこの「地球的な問題」にどのように取り組むべきかの指針を持ち、その指針にしたがって、どのような学生を排出すべきかという理念も構築されているのだろう。Sachs氏が所長であるコロンビア大学地球研究所の日々のセミナーのプログラムを見ても、スタッフ自身が触発されるにちがいないし、これに毎日のごとく触れることのできる学生が将来どのように育っていくかを想像するのは難しくない。
大学が変わっていけば、大学を受験する側だって変わらざるを得ない。文系だから、数学や理科はやらないなどど、馬鹿なこといっている時代はとっくに終わっている。現代を理解するためには全て必要なのだ。わが大学も150年前の精神に戻らないといけないのかもしれない。
はじめて外国の学位授与式をみた。大学のスタッフが、「総長にお尋ねいたします。誰々君は、TERI大学の所定のプログラムを修了し、何々のついての論文を提出いたしました。誰々君に、何々の博士号を授与することをお認めいただきたいと思います」、Pachauri総長が立ち上がり、「誰々君に何々の博士号を授与することを認める」と言う具合に、博士号と修士号の学生一人一人についてこれを繰り返す。カッコよすぎ。これが終わったあと、一人一人が壇上に呼ばれ、いわゆる学位紀をPachauri総長から授与される。隣にはLevin Yale大学学長も立ち、学生は二人と握手して、カメラマンが一斉にフラッシュを浴びせる。特等席で良いものを見せていただいた。
Convocation、世界は凄い
08/11/17
学位授与式でパチャウリTERI大学総長が学位を授与しているところ。隣は米国エール大学のレビン学長。知らずに連れて来られて、来賓席最前列のど真ん中という特等席で、一人だけ普段着でみせてもらいました。
お昼は、Gulba’sのDal Fry(Rs.40)。豆のカレーです。これは、一番安いメニューですけど、くせになる美味しさです。