Taj 多事
Taj 多事
2008
5時に起床というか、爆音で目が覚める。爆音はそこらじゅうで響いているし、そのうち、お経のようなものが聞こえてきたかと思いきや、鼓笛隊のようなものが通り過ぎっていった。10月28日には、一年で最大のヒンドゥ教の祭りがあるそうで、その先行行事が始まっているのかもしれない。あとでセナさんに聞いたところ、シーク教の神様が10日後に降りてくるそうで、シーク教徒が毎朝、神様をお迎えするためのに楽団を組んで行進し、爆竹を鳴らすのだそうだ。朝5時に。
本来ならとっくに、祭りに備えて車一杯にお祭りの土産物(?)を積んで配り回る人をみかける時期なのだそうだが、インドにも米国発の金融危機の影響が及び、経済が不調で、人々の出足も相当に鈍いとのことである。順調だったインドの株式市場も2002年の水準に逆戻りだ。サブプライムという詐欺にも似たような差益ねらいの金融商品がこれだけ市場に出回ったことも信じられないが、こういう金融的な利潤稼ぎだけではなく、実態経済の実を大きくするような金融システムのあり方を考え直さなければならない時期だろう。
マーク・ピーターセン『日本人の英語』(岩波新書)を読了。
だいぶ以前から読もうと思って積んであったが、やっと最後まで読み通した。この書物に書いてあることは、全てなるほどと思わせられることばかりだ。”Especially”なんていうのは、会話の中では無意識にしょっちゅう使っているに違いない。”In particular”に直そう。”Therefore”も論文の中では、多用している。ここに書かれている表現を意識的に使えるようになりたいものだ。そのためには、何度もこの本に目を通して問題点を明確にし、その問題点を意識して英文を読むことを習慣にしないといけない。木下是雄『理科系の作文技術』とともに論文を書くのに必携の書と言えよう。続編も読もう。
1時過ぎに近くの食堂へ昼食を食べに出かける。Indian、Chinese、Hamburgerなんでもありだ。ライス付きThali(Rs.60)を注文する。Dahl(豆)とPaneer(チーズ)のカレーにPapar(煎餅)、Rothi2枚、Chawal(ライス)、それに青唐辛子ソースにのせられたタマネギのピクルス。値段も量もGulba’sのStandard Thali並みだが、味はGuba’sに軍配を挙げる。でも決してまずいというのではない。最初、PaprとRothi1枚が出てくるのだが、頃合いを見計らってアツアツのRothiがもう一枚追加される。この気配りがよい。小生は、この追加のRhoti1枚でカレーのほとんどを食べてしまった。慌てたウエイターが、Chawalがあるからと言って、ライスと小椀に追加のDhalを持って来てくれた。今日は、きれいに平らげた。
2時半にセナさんと待ち合わせだ。More for youで水を買ったのだが、日曜と言うことか雇い人を連れて大量の買い物をしている客が二組いて、三台あるレジが一つしか稼働していないので、たいそう待たされた。2時20分ごろSmile Innに戻ったが、すでにセナさんは待っていたくれた。すぐに荷物を置いて、携帯電話を買いに出かける。その前にATMへ寄ってほしいとリクエストすると、セナさんは娘さんにどこがよいか聞いて、新しくできたモールへ行けば、ATMもあるし携帯も買えるということで、V8何とかというショッピングモールへ、 サイクルRickshawを拾って 行くことに決定。セナさんも身長180cmはある大男、小生も体重80Kgの巨漢、Rickshawワーラーも大変だ。
着いたモールの立派さには驚いた。映画館とフードコートを主体にする棟と4階建てのテナントの店からなる2棟構成。店の数の多さと広さは、ボストンでよく出かけたギャレリアモールを思い出してしまった。ここだけ見たら、立派な先進国である。テロの影響で出入り口は一カ所に規制されボディチェックを受けなければならない。
携帯電話の購入手続きは、次の通り。まず、機械を購入する。次に、電話番号を購入する(SIMカードの購入)。そして、プリペードカードを購入する。このモールでは、機械の購入しかできないそうだ。以降の手続きはセナさんの知り合いの店でやってもらうことにして、機器を選ぶ。電話さへかけられればよいので、NokiaのRs.1200のものを購入。店員は、電話の一番上のところに懐中電灯機能がついていることを自慢していた。停電が多い故の機能であろうか。
このモール、入場者数は多く、フードコートもほぼ満杯なのだけれど、店に入っている人の数は異様に少ない。店だけは立派になったのだけれど、実際にここで買い物ができるひとの数は非常に限られているのだ。きっと、Jor BaghやDefence Colonyから訪れる客も多いにちがいない。ここだけ見たら立派な先進国だけれども、インドの首都New Delhiでさえ水の供給は朝夕2時間だけだという。近年のGDP成長率は8%程度が続いているが、非常にバランスを欠いた成長をしているようだ。
セナさんの知り合いの携帯ショップへ歩いて向かう。モールへ行く途中に床屋も紹介して欲しいとお願いしたのだが、セナさんが行きつけの床屋が途中にあるというので、電話を入れるみるとと空いているといことで、急遽散髪に行くことになった。秋葉原デパートの部品屋のように、知る人ぞ知るという場所にある床屋だ。店の雰囲気は、昔ながらの日本の床屋を主思わせる。髪を切る技術も日本と同じで片手に櫛、片手に鋏で、非常に丁寧にやってくれる。ヒゲの手入れも完璧だ。
セナさんは、後ろのソファに座って待っていてくれたのだが、オイルマッサージをやるかとの店員の呼びかけに、一緒にやろうということになった。 当然、髪を切る職人とマッサージの職には別である。 散髪をした店員は、Mustard Oilだなぞとふざけて言っていた。ネトッとしたオイルを頭にたっぶりと注ぎ、15分に及ぶマッサージが始まった。極楽極楽。最後が圧巻だ。店員は、妙な金属の機械を手にはめる、電源を入れると、その機械が強烈に振動を開始する。その振動が店員の手に伝達され、その振動した手で頭、首、肩、背中、さらに人差し指を耳に突っ込んで耳のマッサージへと続くのである。
店主に言わせると、この機械は、日本の大同電気(?)が生産しているそうで、15年前にこの店を訪れた日本人留学生が、日本から送ってくれたそうだ。「日本の機械はすごい、なんてったって15年も故障もしないで動いているんだから。でも新しいやつをあと4台ほしいんだ。」、「日本じゃそんなの見たことないぞ」と言うと、大同電機の情報をノートで調べている。えっ、そのノートも15年以上使ってるのか、すごい。でも見つからない。「おまえいつまでインドいる?」、「1年はいるよ」、「どこにいる、New Delhiか?」、「セナさんのところだよ」、「そうかそうか。じゃあこれから何回も何回も来るな。それまでに調べておく」。どうやら、小生が輸入ブローカーになることを期待しているようだ。
さて、お値段は、店員さんへのチップ込みでRs.120(270
円)。Jeffery D. SachsのLectures on Macroeconomicsにある購買力平価と非貿易財の章だったと思うが、インドの床屋が安くて腕がよいからといって、インドまで散髪をしに行く人はいないだろう、という話がでてくる(このように貿易できない財があるから各国の物価は異なり得る、どのくらい違うのかを知るのが購買力平価だ、というストーリだったかな)。当然日本では、電気代やら道具、化粧品の価格、そして店員を雇っている場合には賃金が高いから、270円という値段では散髪サービスを提供できないわけであるが。でもインドでは、こういう床屋に来られる人も限られている。道端には、まるで靴磨きのような椅子だけが用意された床屋がいたるところにある。だから所得に限らず、髪の毛はみんなすっきりしている。
目的の携帯ショップへ到着したが、噂通り住所証明やら写真やら何かと面倒そうだ。セナさん知り合いは、留守だったので、あとはセナさんにお任せした。もしかしたら、セナさんの名義で登録することになるかもしれない。
その後、小生の部屋でちょっとお話をして、5時半ぐらいにお別れした。この二日間、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
昨日買った缶ビール、God Father Super Strongを恐る恐る飲んでみる。十分いける。日本の発泡酒よりは美味い。Kingfisherがなければこれだな。1本Rs.40(90円)だから、インドでは贅沢品だ。
床屋でMustard Oil Massage
08/10/19
近所の食堂のThali
Shakarpurにあるショッピングモール。
ここだけみたら立派な先進国だ。
でもインドの首都ニューデリーの水の供給は朝夕2時間だけ。
God Father Super Strong、十分いけます。