『企業行動と管理会計』(中央経済社,1989年10月)

本書の特徴
現在使われている用語を使えば,「複雑系」の視点に基づいて執筆された著書。

当時の主流であった還元主義的・分析的アプローチには,限界があることを指摘。

人々の環境認知の違い→企業行動の違い→管理会計のあり方の違いを指摘。


前書き抜粋
本書を貫く基本的考えが3つある。その第1は、人が環境をどう見るかによって問題設

定の仕方が変わっていき、したがって、また、行動が変わってくるということである。その

2は、環境、人々との間の相互作用の重視である。その3は、意思決定、行動に至るコン

テクストの重視である。


コメント
本書の柱の一つである「日本的経営」についてのアイディアは1970年代末に考えられ

た。したがって,現象面では古い感じが否めないが,心→形,形→心を始めとして現

時点でも説明力が高いと思われるアイディアが示されている。もう一つの柱である「環

境認知の違い→行動の違い」に着目したのは1986年頃である。私の関心が企業行動

の説明にあったため,管理会計については十分に触れられておらず,一冊の本として

みた場合は,バランスに欠けた著書となっている。その点を補って,執筆されたのが「経

営管理の一環としての管理会計の研究」で,私の博士論文となっている。


キーワード
認知,場,あいまいさ,進化,心,形,コンテクスト,相互作用,意思決定,振替価格,

自製・購入



本書についての,感想・ご意見・誤りの指摘は,kobay@fbc.keio.ac.jpへお寄せください。

プロファイルへ| |著書リストへ| |K's Home Pageへ|