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<内容紹介>
欲望はシフトする
それなら、室の高い生活の「味」を知らない貧乏な時代と「味」を知ってしまった豊かな時代では、未充足のギャップが残るという意味での不満の程度がそうちがわないのでは、ということになる。
その通りであろう。しかし、決定的なちがいがある。
貧乏な時代には、このままギャップが埋まらないのではないかという不安とその状態の苦痛が大きく、あきらめれば死に至るというのに対し、豊かな時代における未充足のギャップの存在に直面すると「不満」の状態に陥るだけである。
以上のように、長期的に見れば、五感に関する飽和(期待)水準も上方シフトを示すものなのである。
しかし、シフトのメカニズムは「ほめられ欲求」の場合と違ったところがある。前者は経験や情報 によってシフトするのに対し、後者は達成によってシフトするのである。
< 目次 >
1.人はほめられたいもの
2.束縛と共感の原理
3. 善のシステム
4. 欲望のシフト
5. 余暇時代の後ろめたさ
6. 可能性を求めて
7. 豊かな社会