深化する日本の経営

   ―社会・トップ・戦略・組織― Revisiting Japanese Management

目次


はしがき

T 日本企業

1 日本的経営 ―三種の神器―

1-1 終身雇用制
<コラムT-1 三種の神器>
◆ 終身雇用とは何か
<コラムT-2 制度ではなく慣行>
◆ 終身雇用制のメリット ◆ 終身雇用制のデメリット ◆ 1990年代以降の終身雇用制
1-2 年功序列制
◆ 年功序列制とは何か ◆ 年功序列制のメリット ◆ 年功序列制のデメリット ◆ 1990年代以降の年功序列制
1-3 企業内労働組合
◆ 企業内労働組合とは何か ◆ 企業内労働組合のメリット ◆ 企業内労働組合のデメリット15 ◆ 1990年代以降の企業内労働組合
<コラムT-3 定昇とベア>

2 現代の企業

2-1 現代企業の概念
◆ なぜ経営学を学ぶのか ◆ 企業とは ◆ 企業とは「自らの危険負担の下で自主的に意思決定する組織体である」
◆ 企業とは「製品・サービスを生産する組織体である」 ◆ 企業とは「資本計算制度を持つ組織体である」
◆ 企業とは「人間の組織体である」
<コラムT-4 経営学と経済学の違い>
2-2 企業経営の目的
◆ アメリカ企業の目的は利潤の最大化
<コラムT-5 所有と経営の分離,所有と支配の分離>
◆ 日本企業の目的は長期の維持発展 ◆ 株式持合い ◆ 日本企業の長期的志向 ◆ 1990年代以降の変化とグローバルスタンダード
◆ 利潤の最大化は手段でもあり目的でもある ◆ 利潤の源泉は企業内部にいる人間の創造性の発揮 ◆ 一つ上の目標を示す
<コラムT-6 目的―手段関係>
2-3 会社とは
◆ 公企業,公私混合企業,私企業 ◆ 会社法に規定される「会社」 ◆ 資本の必要性 ◆ 出資と責任 ◆ 合名会社と合資会社
◆ 有限会社と株式会社 ◆ 合同会社

3 企業成長と企業の社会性

3-1 企業活性化と企業成長
◆ 活性化した企業では全経営過程が好循環している ◆ 局所的好循環からスタートして短期的好循環へ ◆ 長期的好循環と企業文化
◆ 企業成長とインタンジブルズ
<コラムT-7 インタンジブルズの重要性>
3-2 企業の社会性
◆ 第3の良い企業の基準は社会性 ◆ CSR と社会的責任 ◆ 従業員 ◆ 株主・取引先 ◆ 地域社会 ◆ 消費者・社会一般 ◆ 地球環境
<コラムT-8 コーポレート・ガバナンス>
<コラムT-9 米ロータス・ディベロップメント社のケース>
<コラムT-10 サステナビリティ>
<コラムT-11 環境経営>

U トップマネジメント

1 トップマネジメントの実態

1-1 トップマネジメントの構成
<コラムU-1 監査役設置会社と委員会設置会社>
1-2 社長のタイプ

2 コーポレート・ガバナンス

2-1 アメリカ企業のコーポレート・ガバナンス
<コラムU-2 エンロン事件とワールドコム事件>
2-2 ドイツ企業のコーポレート・ガバナンス
2-3 日本企業のコーポレート・ガバナンス
<コラムU-3 ソニーの執行役員制度>
2-4 日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの現状

3 経営者機能

3-1 将来構想の構築と経営理念の明確化
◆ 将来構想の構築とは
<コラムU-4 ??風が吹けば桶屋が儲かる」と「バタフライ効果」>
◆ 長期的な視点を持つ日本企業の将来構想 ◆ 経営者の現場歩き ◆ 変化の速度の差の原理とモノゴトの重要度の差の原理
◆ 経営理念と経営目標
3-2 戦略的意思決定
◆ 戦略的意思決定とは ◆ カシ・カリの論理の遂行 ◆ 根まわし ◆ 公式の決定
3-3 執行管理
◆ 執行管理とは
<コラムU-5 経営管理論の始まり>

4 経営者能力

4-1 企業家精神,管理者精神とリーダーシップの関係
◆ 企業家精神 ◆ 管理者精神 ◆ リーダーシップ
<コラムU-6 リーダーシップ研究の系譜>
4-2 経営者能力の発揮
◆ 創業期に求められる経営者能力 ◆ 成長期に求められる経営者能力
<コラムU-7 ソニーウォークマンの開発と社長の能力>
◆ 安定期に求められる経営者能力105 ◆ 再成長に求められる経営者能力

V 経営戦略論

1 経営戦略論とその系譜

1-1 経営戦略とは
1-2 経営計画との違い
◆ 計画を立てることの特徴と前提 ◆ 不透明な将来の主因
1-3 経営戦略の現代的意義
◆ 高まる不確実性 ◆ 経営戦略上の課題
1-4 経営戦略の様々な局面
◆ 経営戦略の階層性 ◆ 外部環境と内部条件の整合性 ◆ 戦略の策定と遂行
1-5 経営戦略論の展開
◆ 経営戦略論の確立 ◆ 自社を位置付ける ◆ 内部要因の傾倒 ◆ 経営戦略論を学ぶ意義

2 経営戦略のプロセス

2-1 企業の基本計画とその現代的意義
◆ 経営理念,経営方針,ビジョンとドメイン(事業領域),社是,社訓,行動規範 ◆ 基本計画の内容と実際
◆ 基本計画の現代的意義とその効果 ◆ 基本計画発信の方法
2-2 外部・内部の分析
◆ SWOT 分析 ◆ 業界構造・競争構造の分析=5つの競争要因
2-3 分析的展開と創発的プロセス
◆ 分析麻痺症候群 ◆ 計画の限界 ◆ 分析,計画・誘発,トップダウンに対立する直観,創発・自律,ボトムアップ
◆ 注目される創発・自立のプロセスとその課題
<コラムV-1 計画・誘発的戦略と創発・自立的戦略の解釈:インテルの事例>
2-4 経営戦略の策定と遂行
◆ トップダウン型の戦略策定・遂行 ◆ 創発・自立が加えられた戦略策定・遂行

3 全社戦略

3-1 企業の成長戦略
◆ アンゾフの成長ベクトル ◆ 関連型多角化が望ましい ◆ 状況によってとるべき多角化は異なる
3-2 事業の撤退,選択と集中
◆ 企業の経路依存性 ◆ 撤退戦略 ◆ 選択と集中 ◆ M & A(Mergers & Acquisitions)
3-3 グローバル展開に向けて
◆ グローバル化の意義 ◆ グローバル展開のプロセス
◆ 社内のグローバル化 ◆ 昨今のBOP ビジネスの特徴
<コラムV-2 マイクロファイナンスとBOP ビジネス>

4 事業戦略

4-1 ポジショニング
◆ PPM (Product Portfolio Management) ◆ ポーターの3つの基本戦略
4-2 競争優位の戦略
◆ 資源ポジション・バリヤー ◆ 価値連鎖
4-3 競争と協調の戦略
◆ ゲームアプローチ ◆ 戦略的提携

5 製品戦略

5-1 製品戦略と新製品開発プロセス
◆ 製品開発におけるマーケティングの役割 ◆ 技術開発とイノベーション ◆ 製造技術と製品技術 ◆ 製品開発のプロセス
5-2 研究開発戦略
◆ 技術レベルと企業が取り組む研究開発 ◆ 技術のS 曲線 ◆ 技術のロードマップ

6 競争優位の源泉

6-1 資源ベース理論の発展と強みネットワーク
◆ VRIOフレームワーク ◆ 資源の組み合わせとしての強みネットワーク ◆ コア・コンピタンス
6-2 戦略経営の必要性
◆ 資源を結ぶ担い手としてのヒト ◆ 組織に求められる仕組み ◆ 変わるミドルの役割

W 組織とヒトの管理

1 経営資源の管理

1-1 経営管理とは
◆ 有効性と効率性 ◆ 組織の目標と個人の目標
<コラムW-1 ビジネスモデル>
1-2 経営資源
◆ 社会性,戦略,組織,資源 ◆ モノゴトの重要度の差 ◆ カネの管理 ◆ 財務指標と創造性発揮
1-3 モノの管理
◆ 科学的管理法 ◆ 大量生産 ◆ 製品アーキテクチャ ◆ コスト削減
<コラムW-2 海外生産による産業の空洞化と日本国内生産の強み>
◆ 外部資源の活用 ◆ 品質管理

2 組織の管理

2-1 組織と情報
◆ 変化の速度の差の原理 ◆ 企業文化 ◆ イノベーション ◆ 情報の管理と情報収集
<コラムW-3 怒る>
◆ 知識創造
2-2 日本の企業組織
◆ 信頼取引
<コラムW-4 プリペイカードとクレジットカード>
◆ 家の論理 ◆ プロテスタンティズム ◆ 社会資本 ◆ 和魂洋才
2-3 企業成長と組織構造
◆ 革新と展開 ◆ 非公式組織 ◆ 職能別組織
<コラムW-5 機械的組織と有機的組織>
◆ 事業部制と子会社
<コラムW-6 SBU>
◆ プロジェクト・チームとマトリックス組織
2-4 新しい組織形態
◆ フラット化組織
<コラムW-7 アメーバ経営>
◆ ネットワーク組織
<コラムW-8 フランチャイズ>

3 組織の活性化

3-1 活性化とは
◆ 企業文化の成長段階 ◆ 経営理念 ◆ 組織学習
<コラムW-9 シングル・ループ学習とダブル・ループ学習>
◆ 企業の活性化と組織の活性化 ◆ 製品戦略に対応した組織活性化の3つの方策
3-2 挑戦意欲の向上
◆ 組織制度改革 ◆ 中間管理者の意識改革 ◆ 減点主義から加点主義へ
3-3 意識改革
◆ 危機感 ◆ 経営理念・経営目標の明確化 ◆ 現場歩き ◆ 企業文化変革の方策
3-4 専門知識の再構築
◆ スペシャリスト・エキスパートの教育・訓練 ◆ 中途採用による環境適応 ◆ 新規事業部門の設置 ◆ 知識の深化

4 ヒトの管理

4-1 能力開発
◆ 能力とその開発 ◆ 能力開発の循環プロセス ◆ Off-JT
4-2 動機付け
<コラムW-10 ホーソン実験>
◆ 従業員モラール
<コラムW-11 ハーズバーグの衛生理論>
◆ ほめる哲学
4-3 能力開発のための人事評価
◆ 人事評価と能力開発の関連 ◆ 人事評価と公正性 ◆ 具体的な評価の仕方 ◆ 職位,職種による違い
◆ 経営者の考え方,企業文化による違い
4-4 日本企業の人事評価の大きな流れ
◆ 能力主義的評価の歴史 ◆ 年功主義 ◆ 能力主義 ◆ 能力開発主義と成果主義 ◆ 新たな評価制度 ◆ 大変革期における挑戦意欲

X これからの企業

1 良い企業とは

1-1 社会的責任,フィランソロピー,CSR
◆ 社会的責任ブーム ◆ フィランソロピー・ブーム ◆ CSR ブーム
<コラムX-1 好景気の判定>
1-2 企業のための社会性
◆ 制約条件としての社会性だった社会的責任ブーム ◆ 企業のロジックとは無関係の社会性であったフィランソロピー・ブーム
◆ CSR ブームと企業のための社会性 ◆ アメリカ企業にとっての社会性の考え方 ◆ 欧州企業にとっての社会性の考え方
◆ 単なる理想論で片付けてはならないCSR ◆ 日本の経営者も同意見
◆ 社会的責任ブームとフィランソロピー・ブームの社会性の考え方は非現実的 ◆ 企業のための社会性と捉えるべき

2 社会性に関する実証研究

2-1 社会性と財務業績
◆ 社会性の高い企業は収益性・成長性も高い ◆ 高財務業績への必要条件としての社会性
2-2 雇用と財務業績
◆ 終身雇用制は崩壊していない ◆ 終身雇用という“概念” ◆ 終身雇用維持派の財務業績は高い ◆ 終身雇用+能力主義で高業績
◆ さらなる研究の必要性

REFERENCES

APPENDIX

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