72 ― 301.10、75 ― 284.90、80 ― 202.95、85 ― 199.80、90 ― 124.05、95 ― 79.75。東京外為市場対ドル円相場の最高値である。1996年8月現在、1ドル108円 と若干戻っているが、基本的に円高である。なぜ円高になるかといえば、購買力平 価、ファンダメンタルズなど各種の説明があるが、やはり世界の余剰資金、投機資 金の影響が大である、といえる。いずれにせよ“日本経済という株”が買われてい るわけであり、それだけ日本経済が、そして日本企業が注目されている。このよう な状況において、経営学にはやはり日本企業自体を研究対象とし、実際のデータを 扱う実証研究が重要となる。このアプローチを計量経営学(managemetrics)と呼んで いる。計量経営学という言葉自体は決して新しいものでなく、古くは伊大知良太郎 教授の「計量経営学の提唱」(『経営評論』1951)、「計量経営学の誕生」(日本 経済新聞、やさしい経済学、1952)、山城章教授の「計量経営学と会計」(『会計』 1953)、又城一郎教授の『経営学新論―計量経営学の展開と適用―』(1963)、な どがある。ただこの言葉は、余り広く一般に使われていないのが現状である。本書 の具体的な内容は序章に譲るが、全編にわたってこの計量経営学的なアプローチを 採用しているところが1つの大きな特徴となっている。実証研究によるアプローチ が重要な今日、もっとこの計量経営学という言葉を強調せねば、と筆者は考えてお り、managemetricsという造語も作って使っている。
本書の各章は既に論文の形でいくつかの雑誌に発表されたものがベースになって いる。初出一覧は以下の拙稿である。第1章[1984b]、第2章[1984a]、第3章 [1992a]&[1992c]、第4章[1995](古川靖洋氏との共同論文)、第5章[1987c]、 第6章[1992e]、第7章[1994]、第8章[1996]。中にはかなり古い論文も混ざっ ているので、本書への収録にあたりできる限りの加筆訂正を行なった。ただしデー タの古さがその意義を損なうことはないもの、また実証研究の性格上、データの更 新ができないものについてはそのまま採用したものもある。これらについては他日 を期したいと思っている。
本書をまとめるにあたって、日頃から多くの方々にご指導をいただいてきた。ま ず、学生時代、大学院生時代、助手時代、助教授時代、そして現在にいたるまで20 年近くにわたって物の考え方、勉強の仕方から論文の書き方まで、懇切丁寧なご指 導をいただき、常に貴重な助言をしてくださった恩師・慶應義塾大学名誉教授・東 京国際大学商学部教授清水龍瑩先生に深く感謝申し上げたい。慶應義塾大学商学部 教授十川廣國先生にはもっとも身近な先生として数々の訓えを頂き、最近では共同 研究プロジェクトで貴重な体験をさせていただいている。また、慶應義塾大学商学 部教授藤森三男先生・植竹晃久先生・岩田暁一先生・黒川行治先生、亜細亜大学経 営学部教授池島政広先生、成城大学経済学部教授篠原光伸先生、慶應義塾大学総合 政策学部教授榊原清則先生、嘉悦女子短期大学専任講師古川靖洋先生ほか多くの方 々にもお世話になった。特に古川先生には日頃の研究仲間として多くのコメントを いただき、筆者との共同論文を本書第4章のベースとして使うことを快く認めていた だいた。皆様方に厚く御礼申し上げたい。最後に、本書の出版補助をしてくださっ た慶應義塾大学商学会に御礼を申し上げるとともに、本書の出版を勧めてくださり 多大なご協力をいただいた中央経済社取締役河野正道氏に深く感謝の意を表す次第 である。