問題に立ち向かい、
社会の発展に寄与する「人財」を育てる
商学部長:牛島利明

少子高齢化、グローバル化、エネルギー問題など、現在の日本社会は大きな構造変化にみまわれています。しかも、その影響は経済・産業にとどまらず社会の多方面に及んでいます。
このような時代に求められるのは、高い倫理観と責任感をもちながら、現代産業社会が抱える諸問題を自ら発見し、解決案を提示し、かつ実行する能力を備えた、新しい社会を創造できるリーダーです。慶應義塾大学商学部はこのような「人財」を育てることを目標としています。

商学部は、慶應義塾創立100年を記念して1957年に誕生しました。しかし、その原点は、実学の重要性を説く福澤諭吉が、わが国会計学の先駆けとして明治初期に公刊した簿記書「帳合之法」に遡ります。商学部の教育・研究の中核を成しているのは、ものごとの道理を究明してそれを現実社会で活用するという、まさに福澤のいうこの「実学の精神」にほかなりません。

これから大学で学ぶ皆さんにとって重要なのは、将来の夢や目標の実現のためにも、広い視野に立って現実を冷静に分析し、ものごとの本質を見極める「実学の精神」を身につけることです。

例えば入試問題などで高得点をとれる皆さんは、いわば答えのある問題を解く能力に優れていると言えますが、現実社会で求められるものの多くは答えのない問題にどう対処するか、という能力です。そこで必要とされるのが自分の頭で考えるということです。

具体的には、問題の発見、仮説の構築、仮説の検証、主張の発信・実行といった一連の作業を通して、自分の頭で考え判断する力を磨くことが必要になります。商学部ではこのような教育を通して、社会の発展に寄与できる「人財」の育成を目指しています。